新徳寺 (京都市)

新徳寺（しんとくじ）

新徳寺は、京都府京都市中京区壬生賀陽御所町に位置する臨済宗永源寺派の寺院であり、山号は鳳翔山です。この寺は1739年に、白隠禅師の高弟である東嶺円慈によって開山されました。剛毅な精神を持つ彼は、永源寺の百十三世である天巌文聡和尚と親しい関係にあり、彼の影響でこの寺が設立されたのです。

新徳寺は大智寺の末寺としての歴史を持ち、周囲の寺院と共に「鳳翔山新徳寺」として名を馳せました。天巌文聡は、摂政一条道香から旧殿及び重門を授かり、それを御所から移築して新たな本堂としました。しかし、江戸時代後期に発生した天明の大火によって、これらは残念ながら焼失してしまいました。

新選組との関係

新徳寺は、幕末の有名な武士集団である新選組にとって重要な場所でもあります。新選組の前身である浪士組の指導者、清河八郎が新徳寺の本堂で浪士たちに向かって演説を行いました。「尊王攘夷」というスローガンのもと、清河は江戸に戻ることを決意しました。しかし、近藤勇を中心とする一派は「幕府の権力を維持する」ことを選び、清河の呼びかけから離脱しました。この出来事が新選組の誕生へと繋がっていくのです。

屋根葺地蔵の伝説

新徳寺にまつわるもう一つの有名なエピソードは、「屋根葺地蔵」の物語です。この伝説は、鎌倉時代か室町時代に遡ります。ある日、老女の家が強風によって倒れそうになりました。そこに偶然訪れた若い法師が、手品のように屋根を修理しました。その法師が実は新徳寺の地蔵菩薩であったことがわかり、以後彼は「屋根葺地蔵」として信仰の対象となったと言われています。

このように、新徳寺は歴史的、文化的に重要な寺院です。その豊かな歴史と興味深いエピソードは、多くの人々を惹きつけています。

周辺の名所

新徳寺の近くには、壬生寺や八木邸、鶴屋、鶴寿庵といった名所があります。また、元祇園梛神社や隼神社も足を運ぶ価値があります。これらの場所は観光客のみならず、地元住民にも親しまれています。

歴史的な背景を持つ新徳寺を訪れることで、慰めや精神的な充実感を得ることができるでしょう。多くの人々に受け継がれるストーリーと信仰が息づくこの寺院は、訪問する価値があります。

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