新日本映像

新日本映像

新日本映像は、主にピンク映画の製作、配給、興行を手がける日本の映画会社です。特に「エクセスフィルム」（Xces Film）というレーベル名での活動で知られています。本社は東京都文京区に位置し、関西支社や配送センターも有しています。直営の劇場は現在ありません。

設立と歴史

同社は1989年8月3日に設立されました。その前年、長年にわたり日本の成人映画界を牽引してきた「にっかつロマンポルノ」が幕を下ろしたことが大きな契機となりました。当時、日活でロマンポルノの制作に携わっていたプロデューサーたちが、この時代の終焉を受けて独立し、新たな会社として新日本映像を立ち上げたのです。

設立後は、自社レーベルであるエクセスフィルム名義での新作映画を積極的に制作し続ける一方で、日活ロマンポルノ時代の貴重なフィルム資産なども引き継ぎました。これらの新作及び旧作を、契約を結んだ映画館への配給事業として展開しています。かつては日活の直営館を中心に作品を供給していましたが、時代の変化と共に特定の系列に縛られることなく、全国各地の成人映画館へと配給網を広げました。なお、日活自身が成人映画館事業から撤退したのは2008年、シネロマン池袋やロッポニカ高松といった直営館を売却したことによるものです。

また、ロマンポルノの旧作については、ミニシアターや名画座で開催される特集上映や企画上映にも積極的に配給しており、往年の名作を新たな観客に届ける役割も果たしています。

作品の一部は日活撮影所で撮影されたものも存在しますが、これは現在の（会社更生法適用を経た）日活株式会社とは資本関係がなく、全く別の会社であることを意味します。両社の間に直接的な関連性はありません。

作品の特徴（エクセス・ポルノ）

エクセスフィルムの作品群は、一般的に「エクセス・ポルノ」と呼ばれ、他のピンク映画会社の作品と比較して、性的な描写、いわゆる「濡れ場」を特に重視した作風が特徴とされてきました。しかし、近年では単に性的な側面を強調するだけでなく、松岡邦彦監督や工藤雅典監督らの作品に代表されるように、人間ドラマや社会問題など、より深いテーマに切り込んだ作品も増えています。

企画の幅広さもエクセス・ポルノの大きな特徴の一つです。かつては「尼寺もの」「スチュワーデスもの」「外人もの」「獣姦もの」といった、他のピンク映画ではあまり見られないようなユニークなジャンルを開拓してきました。近年においても、妊婦を題材にしたものや、韓流ドラマを意識した企画などが登場するなど、その企画力は多岐にわたります。

出演者についても多様な背景を持つ女優が起用されます。ピンク映画やエロス系Vシネマで活躍する常連女優に加え、かつてロマンポルノで人気を博したベテラン、一作限りの新人、演劇畑出身者、セクシータレント、そして往年の人気AV女優まで、その顔ぶれは非常に多彩です。ただし、多くの場合、一人の女優が同社の作品に繰り返し出演することは少なく、1～2作品に留まる傾向があります。経験豊富なベテラン女優は、主演よりも脇役として出演することが多く見られます。

また、元々がにっかつロマンポルノに関わっていたスタッフによって設立された経緯から、ごく稀に一般作品で活躍している俳優やスタッフが同社の作品に参加することがあります。その多くは、過去にロマンポルノ制作に携わっていた縁によるものとされています。例えば、監督では実相寺昭雄、寺田農、片岡修二、北畑泰啓、加藤文彦といった名前が、俳優では室田日出男、戸浦六朗、中西良太、赤星昇一郎らが過去に参加したことがあります。

製作体制と技術の変遷

設立当初は、自社での制作や、にっかつロマンポルノに関与していた制作会社への委託が中心でした。しかし近年は、フィルムハウスや旦々舎といった外部のプロダクションへの発注や作品の買取りが主流となっています。現像所も、ロマンポルノの流れを汲んでいた初期にはIMAGICA（旧・東洋現像所）が使われましたが、現在は東映ラボ・テック（旧・東映化学工業）に統一されています。

技術面では、2013年10月に公開された清水大敬監督の『人妻禁猟区 屈辱的な月曜日』以降、作品の撮影方式が従来のフィルムからデジタルへと全面的に移行しました。

主な監督・スタッフ

エクセス・ポルノ専任の監督としては、日活出身の林功（早志宏二）、工藤雅典、新田栄、松岡邦彦、勝利一、坂本太らがいます。また、撮影技師出身の下元哲や大門通（浅尾政行）なども重要な役割を果たしています。フリーの立場で作品を手がける監督も多く、浜野佐知、珠瑠美、池島ゆたかといった他のピンク映画出身者や、山内大輔、神野太といったオリジナルビデオ（OV）出身者が招かれています。過去には、「ピンク四天王」「ピンク七福神」とも称される佐藤寿保や今岡信治のような作家性の強い監督の作品や、ピンク映画草創期から活動していた小林悟監督の作品も発表されていました。

その他の活動と近年の状況

過去には、韓国の成人映画を輸入して国内で配給した実績もあります。また、エロス系のVシネマ作品や、ダイヤモンド映像が制作した一部の作品を、タイトルやスタッフ・キャストの名義を偽って劇場公開したケースも存在しました。

ピンク映画会社としては、新東宝映画やオーピー映画といった草創期から存在する老舗に比べて、比較的新しい存在です。近年、ピンク映画の上映機会が増えているミニシアターでの企画上映への配給を一切行っていない点も、これらの老舗とは異なる特徴です。そのため、業界内での注目度は相対的に低いと見られることがあります。

しかし、近年は同社の新作制作ペースが著しく落ち込んでいます。2016年8月までの3年間で提供された新作はわずか5本と、事実上、製作が停止に近い状態が続いています。2019年8月封切りの『憂なき男たちよ 快楽に浸かるがいい。』を最後に、現在まで新作は発表されていません。

関連事項

日活
日活ロマンポルノ
新日本映像公式ウェブサイト
エクセスフィルム公式ウェブサイト

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