新民党 (1960-1961)

韓国第二共和国時代の新民党：短命に終わった保守政党の軌跡

1960年4月革命による李承晩政権崩壊後、韓国政界は激動の時代を迎えます。この混乱期に生まれた政党の一つが、本稿で扱う第二共和国時代の「新民党」です。 既に第三共和国、第四共和国にも同名の政党が存在しましたが、本稿では1961年に存在した新民党に焦点を当てます。

党の誕生：民主党分裂と保守勢力の再編

4月革命後の第5代総選挙で、民主党が勝利し、国会両院で多数派を握りました。しかし、民主党内部では激しい対立がありました。旧政権要職者を中心とする新派と、旧民主国民党の流れを汲む旧派との間で、権力闘争が激化しました。特に国務総理の承認を巡る争いは決裂の引き金となり、新派の張勉が国務総理に就任したことで、旧派は民主党からの離脱を決意します。

1960年10月13日、旧派は民主党からの分党を宣言。そして11月24日、「旧派同志会」と名乗っていた旧派議員は、新たな政党「新民党」を結成することを決定しました。11月8日には準備大会、翌1961年2月20日には結党大会を開催。金度演を委員長（党首）、柳珍山を幹事長として、正式に発足しました。

短命政党の終焉：軍事クーデターと新民党の解散

しかし新民党の活動は長く続きませんでした。1961年5月16日、朴正熙を中心とした軍事クーデターが発生。軍部による軍政が敷かれ、新民党はクーデター政府の布告によって解散を余儀なくされました。わずか数ヶ月の活動期間しか持たなかったのです。

新民党のその後：民政党への合流と政治的遺産

新民党の多くの政治家は、その後、第三共和国発足直前に結成された野党・民政党に参加しました。尹潽善元大統領をはじめ、新民党で活躍した政治家たちが民政党の中核を担い、韓国の民主化運動に影響を与えていくことになります。

新民党と韓国政治史

新民党は、韓国政治史において、短命に終わった政党ではありましたが、民主党分裂という重要な政治的転換点における一つの象徴的な存在と言えます。その短い活動期間にも関わらず、新民党の動向は、第二共和国から第三共和国への移行期における政治的混乱と、保守勢力の再編を理解する上で欠かせない要素となっています。新民党の研究は、韓国現代史、特に政党政治史を研究する上で重要な意味を持つと言えるでしょう。

参考文献

中央選挙管理委員会編『大韓民国政党史　第1輯（1948年5月10日～1972年10月16日）』（中央選挙管理委員会）
大韓民国国会事務処編『大韓民国国会60年史』（国会事務処）

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