金度演

金度演（キム・ドヨン）：激動の時代を生きた独立運動家、政治家

金度演（キム・ドヨン、1894年6月16日 - 1967年7月19日）は、日本統治時代の朝鮮で独立運動に身を投じ、大韓民国成立後は政治家として活躍した人物です。号は常山（サンサン）。

生い立ちと青年期

金度演は、京畿道陽川郡（現在のソウル特別市江西区）で生まれました。幼少期から漢字を学び、太極学校で初等教育を受けた後、普成中学校に進学。1913年には日本に留学し、錦城学校尋常中学校に編入しました。留学中には「半島中学会」を組織し、活動を展開。慶應義塾大学理財科に進学後は、朝鮮人留学生による組織「朝鮮留学生学友会」で中心的な役割を担い、キリスト教青年会の活動も支援しました。

1919年、二・八独立宣言に参加したことで投獄されますが、出獄後にはアメリカに渡り、ウェズリアン大学で経済学を学びました。さらにコロンビア大学大学院で経済学修士号、アメリカン大学大学院で博士号を取得。アメリカ滞在中には、尹致暎や張徳秀らと協力し、朝鮮語新聞『三一新報』の発刊にも尽力しました。

日本統治下の活動

1927年に朝鮮半島に帰国した金度演は、延禧大学（現在の延世大学校）の教授に就任。1930年代後半には独立運動団体「興業倶楽部」で活動し、1938年に警察に興業倶楽部の参加者として報告されました。その後、朝鮮製絲会社の監査役を務める傍ら、朝鮮興行株式会社を設立し、事業家としても活動しました。太平洋戦争開戦後、反日活動への規制が強まる中、朝鮮語学会を支援していたことが発覚し、1942年に逮捕、咸興刑務所に20ヶ月間収監されました。

大韓民国での政治活動

第二次世界大戦終戦後、金度演は韓国民主党の結党に参加し、1946年には非常国民会議の最高政務委員に選出されました。1948年、大韓民国政府が樹立されると、初代財務部長官に就任。その後、民主国民党を経て野党政治家として活動しました。1955年には民主党の最高委員に就任し、旧派の重鎮として活躍。1956年には副統領候補に指名されましたが、新派の張勉との争いに敗れました。

1960年の四月革命後、李承晩大統領が退陣。同年7月には民議院で実施された大統領選挙に立候補し、2票を獲得。同年8月には尹潽善大統領から国務総理に指名されましたが、議会で否決されました。その後、民主党旧派は分党し、新民党を結党、金度演は委員長（党首）に就任しました。

1961年の五・一六軍事クーデターで一時政界を退きましたが、1963年に民主党再建に参加し、野党政治家としての活動を続けました。軍事政権との会合では、旧体制側の代表として発言し、政治活動浄化法を批判しました。その後、「国民の党」の結成に参加しましたが、党内の対立で分裂し、自由民主党に移籍しました。1965年には日韓基本条約に反対し、国会議員を辞任。新韓党の政務委員として活動しました。

その後

1967年に死去。北漢山殉国先烈墓域に埋葬されました。金度演は、激動の時代を生き抜き、独立運動家、政治家として朝鮮半島、大韓民国の歴史に深く名を刻んだ人物と言えるでしょう。

国会議員歴

初代（韓国民主党、西大門区）
第3代（民主国民党、西大門甲区）
第4代（民主党、西大門甲区）
第5代（民主党、西大門甲区）
第6代（自由民主党、全国区）
第7代（新民党、全国区）


金度演は、その生涯を通して、朝鮮の独立と民主主義の発展のために尽力しました。彼の活動は、現代の韓国にも大きな影響を与えています。

参考資料

김도연 - 大韓民国憲政会

関連書籍

李榮薰『派閥で見る韓国野党史』エディト出版社、2006年。
康俊晩『韓国現代史散歩』（1960年代編 第1巻）、人物と思想社、2006年。
康俊晩『韓国現代史散歩』（1960年代編 第2巻）、人物と思想社、2006年。
金度演『私の人生白書：常山回顧録』日新文化社、1968年。
金度演『私の人生白書：常山回顧録』講友出版社、1967年。
尹潽善『寂しい選択の日々：尹潽善回顧録』東亜日報社、1990年。
張勉『一粒の麦もし死なずば』カトリック出版社、1999年。
金永明『韓国現代政治史：政治変動の力学』乙酉文化社、1992年。
尹景徹『分断後の韓国政治 : 一九四五〜一九八六年』木鐸社、1986年。

もう一度検索