新海幸藏

新海幸藏（しんかい こうぞう）は、1904年2月29日に秋田県で生まれ、1976年2月17日に71歳で亡くなった大相撲力士です。本名は中野幸藏といい、出羽海部屋（入門時は入間川部屋）に所属していました。四股名の「新海」は、当初「あらうみ」と読まれていましたが、いつの間にか「しんかい」と呼ばれるようになり、現在ではそれが一般的です。

生い立ちと入門

新海は、小学校卒業後、地元の茶店に勤めていました。そこで体格を見込まれ、相撲の世界へ誘われました。1920年末に単身上京し、入間川部屋に入門。1921年1月場所に初土俵を踏みましたが、その後出羽海部屋へ移籍しました。

力士としての活躍

1925年5月場所に十両に昇進し、1927年5月場所で新入幕を果たしました。入幕後は、幕内上位と下位を往復する時期もありましたが、宮城山福松から3つの金星を獲得するなど活躍を見せました。1932年1月には、春秋園事件により一時的に角界を離れ、関西角力協会主催のトーナメントで優勝を果たしています。翌年1月場所に幕内格別席で復帰すると、1934年5月場所で関脇に昇進し、翌場所も勝ち越しました。

しかし、その後は成績が低迷。1936年1月場所初日に双葉山定次を破る殊勲の星を挙げましたが、翌年の巡業中に酒に酔って同僚の力士をビール瓶で殴る事件を起こし、1937年5月場所を最後に引退を余儀なくされました。引退相撲でも師匠と揉めて暴行に及んだとも伝えられています。

引退後の生活

引退後は年寄・荒磯を襲名し、検査役を務めましたが、1951年に廃業。その後は不動産業や米菓製造業など様々な事業に挑戦するも、全て失敗に終わりました。晩年は生活に困窮し、1975年からは生活保護を受ける身となりました。神奈川県川崎市のアパートで一人暮らしをしていましたが、1976年2月17日、タバコの不始末が原因で火災を起こし、焼死しました。

生活保護を受けていた当時、ケースワーカーに「年寄株を巡るトラブルで相撲界から足を洗った」「結婚したが、『子どもができなければ10年で別れる』という契約で離婚した」「不動産業に失敗して生活が苦しくなった」などと語っていたそうです。

人物像

新海は、しつこい足技を得意とし、「タコ足の新海」と呼ばれていました。相手の廻しを取り、足を掛けて離さない取り口は、時に相手に怪我を負わせることもありました。また、非常に気性が荒く、酒が入ると手がつけられなかったため、他の力士からは嫌われていたようです。新国劇の沢田正二郎が中耳炎で亡くなった際には、「新海に殴られたせいだ」という噂が立ったほどです。

一方で、親孝行な一面も持ち合わせており、巡業先から親に衣類を贈ったり、戦時中に約40日間の日本一周旅行をさせたりしました。寺山修司は、新海の晩年を題材にした短編小説を書いています。

主な成績

通算成績：206勝191敗1分 勝率.519
幕内成績：145勝164敗1分 勝率.469
現役在位：42場所（春秋園事件による脱退期間を除く）
幕内在位：28場所（春秋園事件による脱退期間を除く）
三役在位：2場所（関脇2場所）
金星：3個（宮城山3個）

改名歴

新海 幸藏（しんかい こうぞう）：1921年1月場所 - 1937年5月場所

年寄変遷

荒磯 幸藏（あらいそ こうぞう）：1937年5月 - 1951年9月(廃業)

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