新潟市歌

新潟市歌

新潟市歌は、新潟県新潟市を象徴する歌として、2つの異なる楽曲が存在します。本稿では、それぞれの市歌の歴史的背景、市民愛唱歌、および新潟市に編入された市町村の歌について解説します。

初代市歌（1928年）

新潟市で最初に市歌制定の動きがあったのは1917年（大正6年）のことでした。この時は土井晩翠が作詞を手掛けましたが、曲が完成せず未完に終わりました。

11年後の1928年（昭和3年）、手塚義明作詞、信時潔作曲により、初代「新潟市歌」が制定されました。手塚義明は当時の旧制三条中学校（現在の新潟県立三条高等学校）の校長であり、信時潔は東京音楽学校の教授でした。この市歌は新潟市教育会の選定を経て完成しました。

初代「新潟市歌」の歌詞と旋律は、2015年（平成27年）12月31日に著作権の保護期間を満了し、パブリックドメインとなっています。

2代目市歌（1969年）と市民歌「砂浜で」

戦後も初代市歌は演奏されていましたが、1968年（昭和43年）の「スポーツと音楽の都市宣言」を機に、市歌を一新することになりました。市歌と市民歌（愛唱歌）の2部門で歌詞の公募が実施され、1969年（昭和44年）に2代目の「新潟市歌」と市民歌「砂浜で」が制定されました。

2代目市歌は、北礎州作詞、西脇順三郎補作詞、後藤丹作曲、芥川也寸志補作曲という豪華な顔ぶれで制作されました。市民歌「砂浜で」は、富田良子作詞、宮柊二補作詞、田沢弘子作曲、芥川也寸志補作曲です。市歌は立川澄人、市民歌は杉並児童合唱団が歌い、レコードも発売されました。

平成の大合併や政令指定都市化を経て、2代目の市歌は現在も存続していますが、市民にとって馴染み深いのは市歌よりも「砂浜で」の方です。中央区の千歳大橋の欄干には、「砂浜で」と1948年（昭和23年）制定の「新潟県民歌」のレリーフが設置されています。

新潟市へ編入された市町村の歌

新潟市に編入された市町村にも、それぞれ独自の市町村歌がありました。

豊栄市民歌: 豊栄市（現在の北区の一部）が1975年（昭和50年）に制定。丸山高司作詞、浮橋康彦補作、久住和麿作曲。
白根市市民歌: 白根市（現在の南区の一部）が1967年（昭和42年）に制定。橋本和雄作詞、森菊蔵補作、山路進一作曲。三鷹淳が歌唱するレコードが製造されました。
黒埼よいとこ: 西蒲原郡黒埼町（現在の西区の一部）が1982年（昭和57年）に制定。清水善夫作詞、遠藤実補作・作曲。新潟市との合併協議で、西区黒埼地区の「地域の愛唱歌」として存続することで合意されました。

新津市（現在は秋葉区の一部）は市歌を制定していませんでしたが、町制時代には1932年（昭和7年）発表の「新津小唄」（野口雨情作詞、藤井清水作曲）が愛唱され、戦中戦後は1939年（昭和14年）発表の「四季の新津」（箱岩周平作詞・作曲）が事実上の市民愛唱歌として扱われていました。これらの曲は、伝統芸能の「新津松坂」と共に、新潟市への編入後も秋葉区の行事で演奏されています。

参考文献

『新潟市政進展史』全4巻（新潟市政進展史編纂部、1955年 - 1968年）
中山裕一郎 監修『全国 都道府県の歌・市の歌』（東京堂出版、2012年）

外部リンク

新潟市歌・市民歌

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