方士

方士（ほうし）とは

方士とは、紀元前3世紀から西暦5世紀にかけての古代中国において、特殊な方術を使い、不老長寿や尸解（しかい、羽化して仙人となること）を追求した修行者のことです。瞑想、占い、気功、錬丹術、静坐といった多様な技法を駆使し、神仙の世界を目指しました。

方士の特徴

方士は、単に神仙を追い求めるだけでなく、政治にも深く関わりました。秦の始皇帝や漢の武帝に封禅（ほうぜん）を献策し、権力に接近した方士も存在します。彼らは、現代で言う科学技術者のような側面も持ち合わせていました。また、儒教とも結びつき、神仙道の教義を広めるなど、宗教的な活動も行っていました。

方士は、祭祀、祈祷、卜占、呪術、占星術、不老長生術、煉丹術、医術などの神仙方術を行い、人々の災いを取り除き、幸福を招き入れる役割を担っていました。その役割は、巫祝（ふしゅく）や童乩（どうき）と似ていますが、王室に封禅を進言できる点が異なりました。

方士の活動を補佐する役職として、使者や副佐などが存在しました。

方士の歴史

方士に関する記述が初めて登場したのは、司馬遷が紀元前1世紀に著した『史記』の「秦始皇本紀」や「封禅書」です。唐代の道士である成玄英は、「方」とはすなわち「道」であると解釈しました。

方士の功績と負の側面

神怪小説においては、方士は医術を駆使して人々を苦しみから解放したり、侠客を導いて社会に貢献するなど、様々な活躍を見せました。古代中国医学、化学、天文学、軍事を発展させたことも、彼らの大きな功績と言えるでしょう。

しかし、一部の方士は、自らの利益のために他人を欺いたり、社会を混乱させたりする行為も見られました。

主な方士

宋毋忌（そうぶき）
正伯僑（せいはくきょう）
羡门高（せんもんこう）
彭祖（ほうそ）
徐巿（じょふつ、徐福）
于吉（うきつ）
左慈（さじ）
管輅（かんろ）
張果（ちょうか）
郭璞（かくはく）
葛洪（かつこう）
陳摶（ちんたん）
李少君（りしょうくん）：尺解仙（せきかいせん）と呼ばれた

参考文献

史記

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