日下部基栄

日下部基栄：柔道の金字塔、そして新たな挑戦

日下部基栄さん（1978年生まれ）は、福岡県福岡市出身の元柔道選手です。幼少期はネフローゼ症候群を患い、幼稚園に通うことすらままならない日々を送りました。しかし、小学校1年生の頃、兄の通う道場で見た3歳上の少女（後の田村亮子さん）の圧倒的な強さに感銘を受け、柔道の道に入ります。

柔道を始めてわずか半年で大会優勝を飾るなど、類まれな才能を発揮。驚くべきことに、柔道を始めたことをきっかけに腎臓病も治癒したと言われています。師である稲田明氏からは、道場内外の厳しい稽古に加え、トイレでの握力トレーニングや電車内でのつり革を使わない体幹強化など、独特な指導を受けました。

小学生時代からその力は際立っており、小学4年生時には団体戦で男子に混じって試合に出場。九州大会では、将来を嘱望された井上康生選手と引き分け、内柴正人選手に勝利するなど、早くから頭角を現しました。さらに、小学6年生の時には、先輩である田村亮子選手の大会応援団長を務めるなど、周囲を魅了する存在でした。

市立東住吉中学時代には、全国中学校大会で3連覇という快挙を達成。男女を通じて史上初の快挙であり、2017年現在もこの記録は破られていません。高校進学の際には、関東の高校からも誘いを受けましたが、福岡工業大学附属高校に進み、園田義男氏に師事しました。高校時代は、思[[春期]]特有の悩みもあり、一時的に柔道への情熱を失う時期もありましたが、世界ジュニア選手権の国内予選で優勝、日本代表に選出されました。その後も、全国高校選手権を連覇するなど活躍を続けました。

純真女子短期大学に進学後も、全日本選抜体重別選手権で3位、全日本学生体重別選手権で優勝するなど、実績を重ねました。1999年に福岡県警に入庁。順風満帆に見えたキャリアでしたが、同年5月、全日本選抜体重別選手権の試合中に左膝前十字靭帯を断裂する重傷を負います。シドニーオリンピック代表選考会出場が絶望視されるも、手術とリハビリを経て選考会に臨み、代表候補に選ばれました。女子57kg級は日本が唯一代表権を獲得できていなかった階級でしたが、アジア選手権で優勝し、シドニーオリンピック出場権を獲得しました。

シドニーオリンピックでは、金メダリストに敗れながらも、敗者復活戦を全て一本勝ちで制し、銅メダルを獲得しました。オリンピック後も現役を続け、地元福岡での国際大会で優勝、世界選手権で3位入賞などを果たしました。しかし、2003年に再び左膝を痛め長期離脱。アテネオリンピック選考会では3位に終わりながらも、アジア選手権で出場枠を獲得しましたが、膝の故障の影響でメダル獲得とはなりませんでした。長年の無理が祟り、2005年1月に現役引退を表明しました。

引退後は、12歳年上の会社員と結婚し、女児を出産。地元福岡でタレントやスポーツコメンテーターとして活躍する傍ら、2013年4月には福岡大学女子柔道部監督に就任しました。監督としての経験も積み重ね、新たなステージで活躍を続けています。

日下部基栄さんの人生は、困難を乗り越え、常に前へ進む姿に満ち溢れています。幼少期の病気、幾度もの怪我、オリンピック出場をかけた戦い、そして引退後の新たな挑戦。彼女の類まれな強さと精神力は、多くの人々に勇気を与え続けています。

主要大会成績

オリンピック
2000年シドニーオリンピック：銅メダル
2004年アテネオリンピック：出場
世界選手権
2001年ミュンヘン世界選手権：3位
福岡女子国際
1996年、2000年、2002年：優勝
アジア選手権
1997年：準優勝
2000年、2003年：優勝
2004年：3位
その他の主要大会で数々の優勝、入賞を果たす

日下部さんの功績は、オリンピックでのメダル獲得だけにとどまりません。柔道界への貢献、そして指導者としての経験もまた、大きな価値を持つものです。彼女の今後の活躍にも期待が高まります。

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