日伊関係

日伊関係

日本とイタリアの関係は、14世紀にマルコ・ポーロが日本を「ジパング」として紹介したことに始まります。その後、戦国時代にはキリスト教宣教師を通じて交流が始まりました。16世紀には、天正遣欧少年使節がローマ教皇のもとへ派遣され、両国間の交流は深まりました。しかし、江戸時代に入ると鎖国政策により、一時的に関係は途絶えます。

19世紀：外交関係の開始

19世紀に日本が開国し、イタリアが統一を果たすと、両国間の外交関係が本格的に始まりました。1866年には日伊修好通商条約が締結され、1867年には最初のイタリア公使が着任しました。この時期、日本の蚕種がイタリアに大量に輸出され、貿易が活発化しました。1872年には岩倉使節団がローマを訪問し、両国間の関係はさらに進展しました。

20世紀：二つの世界大戦

20世紀に入ると、第一次世界大戦で両国は連合国として共闘しましたが、地理的な距離から関係は希薄でした。しかし、イタリアから工業製品や軍需品の輸入が始まりました。1920年代には、ムッソリーニのファシスト政権が成立し、日本でもムッソリーニへの関心が高まりました。

1930年代には、満州事変をきっかけに、両国関係は複雑化します。イタリアは当初、日本の行動を批判しましたが、エチオピア侵攻を機に日本に接近しました。1936年には日伊協定が締結され、1937年には日独伊防共協定が成立し、枢軸国としての関係が深まりました。

第二次世界大戦中、両国は同盟国として戦いましたが、1943年にイタリアが連合国と休戦すると、日本はイタリア社会共和国を支持し、両国関係は分裂しました。この間、イタリア軍の潜水艦が日本海軍と共同作戦を行ったり、イタリアと日本間の長距離飛行が行われたりしましたが、外交上の問題も生じました。

戦後：外交関係の再開と文化交流

第二次世界大戦終結後、1952年に外交関係が再開されました。冷戦下では西側諸国として関係を深め、経済や文化交流が活発化しました。1970年代から1980年代には貿易摩擦も発生しましたが、主要国首脳会議のメンバーとして良好な関係を維持しています。

文化交流も盛んに行われ、1930年にはローマで大規模な日本美術展が開催されました。現在でも、美術館やヴェネツィア・ビエンナーレを通じて、芸術作品の交流が続いています。

経済と交通

経済面では、両国間で自動車や電子機器などの貿易が活発に行われています。また、イタリア料理は日本で広く親しまれており、日本料理もイタリアで人気があります。交通面では、ITAエアウェイズが東京とローマを結ぶ直行便を運航しています。

外交使節

両国は、大使館を相互に設置し、外交関係を円滑に進めています。以下に、過去の駐日イタリア大使・公使の一部を記載します。

ヴィットリオ・サリエール・デ・ラ・トゥール（公使、1867年着任）
マリオ・インデルリ（大使、1938～1943年）
オメロ・プリンチピニ（臨時代理大使、1943～1945年）
ブラスコ・ランツァ・ダイエータ（大使、1952～1955年）
* ジャンルイジ・ベネデッティ（大使、2021年～）


日伊関係は、過去の歴史的な出来事を経て、現在では政治、経済、文化など多岐にわたる分野で良好な関係を築いています。両国間の交流は今後もますます活発になることが期待されます。

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