日尊 (日興門流)

日尊について

日尊（にちぞん）は、鎌倉時代に活躍した日興門流の僧侶であり、太夫阿闍梨と称される存在です。彼は京都の要法寺を創立し、日蓮本宗の祖として広く知られています。日尊の生涯には様々な試練や出来事があり、彼の教えや行動は後世に大きな影響を与えました。

人物の背景

日尊は文永2年（1265年）に生まれました。幼少の頃から天台の僧として修行を始め、弘安6年（1283年）には奥州三迫六町目において日目から教化を受け、改衣を果たしました。弘安7年（1284年）からは日興に師事し、修行に励むこととなります。彼の修行は後の活動の土台を築くことになります。

重須談所での出来事

日尊は重須談所において、弟子を育成する際に多くの努力を重ねていました。しかし、正安元年（1299年）の秋、彼は講義中に窓の外を舞い落ちる梨の葉に気を取られてしまいます。この出来事をきっかけとして、日興より破門されるという厳しい状況に直面しました。

破門された日尊は一念発起し、日本各地を巡り、36の寺院を建立したと伝えられています。たとえ破門されたとはいえ、彼は毎年重須談所のお会式には必ず参詣していたそうです。しかし、本堂に入ることは許されず、彼は隠れて門の外の石に腰を掛けて祈りを捧げる姿がありました。

合流と布教

日尊は後に日興に破門を許され、36幅の曼荼羅が授与されました。以降、日目に仕えることになり、彼の亡き後は天奏に従い、教えを広めていくことになります。日尊は京都での布教を広げる中で、特に要法寺の開創は重要な役割を果たしました。

主な業績

日尊の業績としては、正応3年（1290年）に大石寺が創建された際に塔中・久成坊を開設したことが挙げられます。その後も、延慶元年（1308年）には京都山城に法華堂を創立し、応長元年（1311年）に破門が解かれ、再び教化の道を歩み始めます。

正慶2年/元弘3年（1333年）には日郷や日目に従い、天皇に仏法を説く活動である天奏に臨むことがあり、その途中で日目が亡くなるという出来事もありました。しかし、彼はその意志を受け継いで京都へと入り、その後も後醍醐天皇に天奏を行うなど、積極的に教えを広めていきました。

寺院の設立と最期

日尊は、暦応2年（1339年）には六角油小路に上行院を創立し、日興門流の京都基盤の確立に寄与しました。そして、康永4年（1345年）5月8日に彼は81歳で亡くなりましたが、彼の教えや建立した寺院は、今なお多くの人々に受け継がれています。

設立した寺院

日尊が建立した寺院は、以下のように多岐にわたります：

• - 仏眼寺（宮城県仙台市）
• - 実成寺（福島県会津若松市）
• - 妙福寺（福島県会津坂下町）
• - 満願寺（福島県須賀川市）
• - 願成寺（福島県須賀川市）
• - 浄圓寺（栃木県小山市）
• - 冨久成寺（茨城県古河市）
• - 妙本寺（埼玉県宮代町）
• - 妙縁寺（東京都墨田区）
• - 伊豆実成寺（静岡県伊豆市）

このように日尊は日本の仏教界において重要な役割を担った僧侶であり、その活動の影響は今もなお続いています。

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