日新町 (東京都府中市)

東京都府中市日新町の詳細解説

日新町は、東京都府中市の南部に位置する町名で、1丁目から5丁目までが存在します。この地域は、府中市内で唯一住居表示が実施されていない場所です。郵便番号は183-0036です。

地理

日新町は、府中市の南端に位置し、国立市と隣接しています。東側は分梅町、西側は国立市泉、南側は四谷・住吉町、そして北側は本宿町・西府町・国立市谷保に接しています。この地域は、多摩川の河岸段丘である「多摩川低地」に属しており、かつては海の底だった場所が隆起してできた地形です。多摩川の氾濫によって形成された段丘は、府中市全体の特徴的な地形を形作っています。

歴史

府中市は、古代には武蔵国国府が置かれた場所として栄え、その後も武家社会や江戸時代の宿場町として、長い歴史の中で多摩地域の中心的な役割を果たしてきました。大正期から昭和初期にかけては、関東大震災後の復興や人口増加に伴い、多磨霊園や東京競馬場、府中刑務所といった大規模施設が建設され、都市化が進みました。

特に昭和初期には、軍需工場の建設が相次ぎ、1941年には東芝府中事業所が操業を開始しました。また、同時期には日本製鋼所東京製作所も起工し、府中市は工業都市としての側面を強めていきました。戦後の1954年には、府中町・多磨村・西府村が合併し、府中市が発足しました。

しかし、日新町一帯は戦後も農村の面影を残し、稲作や多摩川梨の栽培が盛んでした。江戸時代には本宿村や四ツ谷村に属し、現在の日本電気府中事業所の敷地内には、旧甲州街道の「本宿一里塚」跡が残っています。また、敷地内には「府中名木百選」に選ばれた古木も存在します。

1964年、日本電気府中事業所が開設され、これが日新町の大きな転換点となりました。事業所誘致に伴い、本宿町の一部が分割され、1965年11月1日に府中市日新町が誕生しました。町名は、日本電気の新工場であることと、「日々新たに」という意味を込めた漢詩から引用され、町の発展への願いが込められた瑞祥地名です。

日本電気府中事業所が進出すると、周辺は企業関連施設が集積し、工業地域へと変貌しました。また、事業所の北側には「市川緑道親水路」が整備されました。2011年には、東京都から「優良特定地球温暖化対策事業所」に認定され、2013年には人工衛星の組立や試験を行う工場が新設されるなど、最先端技術の開発拠点としての役割も担っています。

一方で、2丁目から5丁目にかけては、戦後に宅地化が進み、住宅街が広がりました。かつての水田や果樹園は減少し、都心へのベッドタウンとしての性格を強めています。

世帯数と人口

（注：具体的な世帯数と人口データは記載されていません。）

教育

日新町内の小中学校の学区は以下の通りです。

府中市立府中第五小学校: 1丁目全域、2丁目の一部、3丁目の一部
府中市立日新小学校: 2丁目の一部、3丁目の一部、4丁目全域、5丁目全域
府中市立府中第八中学校: 4丁目の一部、5丁目の一部
府中市立府中第十中学校: 1丁目全域、2丁目全域、3丁目全域、4丁目の一部、5丁目の一部

施設

日新町には、以下のような施設があります。

日本電気府中事業所: 1丁目に位置し、NECグループ各社が多数入居しています。
その他の施設: ヤマト運輸、東京都立府中西高等学校、マクドナルド、コメリハード&グリーン、ワークマンプラス、府中・国立メモリアルパーク、日新稲荷神社、日新町公園、日新町第2公園などがあります。

交通

日新町には鉄道駅はありませんが、西府駅が徒歩圏内です。バス路線としては、京王バスが中河原駅から国立市内を結ぶ路線を運行しています。また、府中市コミュニティバス「ちゅうバス」も日新町を経由しています。かつては日本電気府中事業所への通勤路線として多くのバス路線がありましたが、西府駅の開業に伴い、廃止や減便がされました。

道路としては、中央自動車道国立府中インターチェンジが町域にかかり、中央道側道、東京都道18号府中町田線（鎌倉街道）、東京都道20号・神奈川県道525号府中相模原線（野猿街道）などが通っています。

まとめ

日新町は、日本電気府中事業所の存在を中心に発展してきた町であり、工業地域としての顔を持ちながら、住宅地としての側面も併せ持つ、多様な魅力を持った地域です。かつての農村の面影を残しつつも、最先端技術の開発拠点としての役割も担っており、歴史と現代が交錯する場所として、その発展が今後も注目されます。

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