日本とガーナの関係

日本とガーナは、地理的に遠く離れていますが、歴史的な繋がりと相互の協力によって、良好な関係を築いています。ここでは、両国の関係について、歴史、外交、経済、文化交流など、多角的な視点から詳しく解説します。

歴史的背景

日本とガーナの最初の接触は、1927年に日本人医師の野口英世が、当時イギリス領であったガーナ（ゴールドコースト）に黄熱病の研究のために訪れたことに始まります。野口自身も黄熱病に罹患し、翌年ガーナで亡くなりましたが、その功績は両国で高く評価されています。ガーナでは、アフリカの感染症研究に貢献した人物に贈られる「野口英世アフリカ賞」が設立され、日本の福島県立医科大学は、現在も医師を派遣するなど、野口の遺志を継承しています。

ガーナは、1957年にブラックアフリカ初の独立国となり、日本は同年、ガーナを国家承認し、外交関係を樹立しました。1959年には在ガーナ日本国大使館が開設され、1960年には在日ガーナ大使館が開設されました。その後、大阪に総領事館が開設されましたが、財政上の理由で閉鎖され、現在は福岡市と札幌市に名誉領事館が置かれています。

外交関係

地理的に遠く離れている日本とガーナですが、自由、民主主義、人権尊重などの共通の価値観を持ち、経済的な結びつきを強めています。第二次世界大戦中には、ガーナがイギリス軍の一員として日本軍と戦った歴史もありますが、現在では、野口英世の功績を通して、医療や衛生分野での協力関係が深まっています。ガーナは西アフリカにおける地域大国であり、多くの日本の要人がガーナを訪問しています。また、ガーナからも要人が訪日しており、首脳会談を通じて二国間の協力関係を強化しています。

日本要人のガーナ訪問

2007年：ガーナ独立50周年記念式典に杉浦正健が派遣されました。
2008年：中山泰秀外務大臣政務官が国連貿易開発会議のためアクラを訪問しました。
2008年：西村康稔外務大臣政務官が貿易・投資促進ミッションの団長としてガーナを訪問しました。
2012年：阿部俊子外務大臣政務官がガーナを訪問し、副大統領と会談しました。
2016年：河井克行内閣総理大臣補佐官がガーナを訪問しました。
2018年：薗浦健太郎内閣総理大臣補佐官が「西アフリカ成長の輪」構想の推進に向けてガーナを訪問しました。
2018年：牧原秀樹厚生労働副大臣が野口記念医学研究所などを視察しました。
2019年：大塚高司国土交通副大臣が日・ガーナ官民インフラ会議に出席しました。

ガーナ要人の訪日

2010年：ジョン・アッタ・ミルズ大統領が訪日し、菅直人総理大臣と会談しました。
2013年：ジョン・ドラマニ・マハマ大統領が訪日し、安倍晋三総理大臣と会談しました。この際、「マハノミクス」が提唱されました。
2013年：エマニュエル・アマー・コフィ・ブア・エネルギー・石油大臣が訪日し、三ツ矢憲生外務副大臣と会談しました。
2016年：ジョン・ドラマニ・マハマ大統領が訪日し、安倍晋三総理大臣と会談、共同声明を発表しました。
2018年：シェリ・アヨコー・ボチュウェイ外務大臣が訪日し、河野太郎外務大臣と会談しました。
2018年：ナナ・アクフォ＝アド大統領が公式訪問し、安倍晋三総理大臣と首脳会談を行い、共同声明を発出しました。
2019年：ナナ・アクフォ＝アド大統領がアフリカ開発会議出席のため訪日しました。

経済関係

貿易

2019年の貿易額は、ガーナからの輸出が約133.4億円、日本からの輸入が約121.4億円で、ガーナがわずかに黒字です。ガーナの主要輸出品はカカオ豆で、日本の主要輸入品は自動車です。日本はカカオ豆の8割以上をガーナから輸入しており、安定した生産能力と品質管理が評価されています。

経済援助

日本はガーナの主要な援助国であり、円借款、無償資金協力、技術協力を通じて、インフラ整備、保健医療、教育などの分野で多大な支援を行っています。特に、近年の主要な事業としては、教育分野における「みんなの学校」プロジェクトや、母子保健分野での「母子手帳を通じた母子継続ケア改善プロジェクト」などがあります。また、インフラ整備では、東部回廊ボルタ川橋梁建設事業など、大規模なプロジェクトが実施されています。

企業投資

[2019年]]までに56社の日本企業がガーナで事業を展開しており、両国間の経済的な結びつきはますます強まっています。2020年には日本貿易振興機構]が[[アクラに事務所を開設しました。トヨタ自動車はピックアップトラックの組み立て工場を、不二製油はカカオ豆の調達を、住友商事は複合火力発電事業を、シスメックスは検査機器の普及などを行っています。

文化交流

ガーナでは、よさこい踊りが人気を博しており、「ガーナよさこい祭り」は恒例のイベントとなっています。また、柔道や空手といった武道も親しまれており、日本大使館の支援により大会が開催されています。2020年東京オリンピック・パラリンピックでは、福島県猪苗代町がガーナ選手団のホストタウンとなり、両国の交流がさらに深まりました。

外交使節

駐ガーナ日本大使

駐日ガーナ大使

ジェネヴィーヴ・エドゥナ・アパルゥ（2022年～）
フランク・オチェレ（2018年～2022年）
シルベスタ・ジュドゥ・パポ・パーカー・アロテ（2014年～2018年）
エドモンド・コフィ・アグベヌチェ・デー（2013年～2014年）
ウィリアム・ジョージ・メンサー・ブランフル（2011年～2013年）
クワメ・アサモア・テンコラン（2009年～2011年）
チャールズ・ブレンポン＝イエボア（2008年～2009年）

在日ガーナ大使館

住所: 東京都港区西麻布一丁目5-21
アクセス: 東京メトロ日比谷線/都営大江戸線六本木駅2番出口

まとめ

日本とガーナは、歴史的な繋がりと、相互の協力関係によって、非常に良好な関係を築いています。経済、文化、医療、教育など、多岐にわたる分野での協力関係をさらに深め、両国間の交流がますます発展していくことが期待されます。

参考文献

高根務、山田肖子『ガーナを知るための47章 (エリア・スタディーズ 92)』明石書店。

外部リンク

在ガーナ日本国大使館
在日ガーナ大使館
ガーナ共和国（Republic of Ghana）基礎データ - 外務省

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