日本とパナマの関係

日本とパナマは、太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河を共有する重要なパートナーです。両国関係は、1904年の外交関係樹立以来、経済、文化、人的交流など、多岐にわたり発展してきました。

歴史

初期の交流

日本人が初めてパナマに足を踏み入れたのは、1860年の万延元年遣米使節団でした。日米修好通商条約の批准書交換のためアメリカへ向かう途中、使節団はパナマ地峡を鉄道で横断しました。当時、パナマはまだ独立国ではなく、大コロンビアの一部でした。この時の様子は、使節団の一員であった村垣範正によって記録されています。

パナマ運河と日本の関与

パナマ運河の建設は、両国関係において重要な転換点となりました。アメリカが主導したパナマの独立後、日本は1904年にパナマを国家承認し、外交関係を樹立しました。パナマにとって、日本はアジアで最初の国交樹立国となりました。

特筆すべきは、日本の土木技師である青山士が、パナマ運河建設に測量士として参加したことです。彼は、広井勇やコロンビア大学教授の紹介で渡米し、パナマ運河の掘削に貢献しました。これは、日本人がパナマ運河建設に関わった唯一の事例です。

外交関係の変遷

1918年、日本はパナマに領事館を開設し、その後公使館に昇格しました。しかし、第二次世界大戦中、パナマはアメリカとの関係を重視し、日本に宣戦布告しました。戦後、1953年に外交関係が再開され、相互に公使館が再設置されました。

1962年には、公使館が大使館に格上げされ、パナマシティに在パナマ日本国大使館、東京に駐日パナマ大使館が開設されました。

外交

パナマは、パナマ運河を有する重要な国であり、日本にとって経済的に重要なパートナーです。両国間の要人往来も活発に行われています。

訪日

1980年以降、パナマの大統領が複数回日本を訪問しています。特に近年では、2012年にリカルド・マルティネリ大統領が訪日し、尖閣諸島問題における日本の立場を支持し、日本の国連常任理事国入りに賛成を表明しました。また、2016年にはフアン・カルロス・バレーラ大統領が訪日し、パナマメトロ3号線への日本のモノレール技術導入が決定しました。2019年には、ラウレンティノ・コルティソ大統領が即位の礼で初訪日しています。

パナマ訪問

日本の総理大臣によるパナマ訪問はまだ実現していませんが、外務大臣や経済産業大臣をはじめ、多くの日本要人がパナマを訪問しています。特に、2013年には岸田文雄外務大臣が、2016年には世耕弘成経済産業大臣がパナマを訪問し、パナマメトロ計画やパナマ運河の重要性について協議を行いました。

経済交流

経済支援

日本は、アメリカと並びパナマの主要援助国です。2017年までに3000億円以上の経済支援を実施しており、特にパナマメトロ3号線の建設に対する技術提供や円借款が代表的です。パナマは中南米でも比較的豊かな国ですが、日本はインフラ整備などを中心に経済支援を続けています。

貿易

両国間の貿易は、パナマの輸入超過が続いています。パナマは日本から船舶、自動車、石油製品などを輸入しており、その一方で船舶を輸出しています。日本はパナマ運河の主要利用国であり、貿易立国である日本にとってパナマ運河は重要な海上輸送路となっています。

パナマ文書

2015年にリークされたパナマ文書は、租税回避問題を浮き彫りにしました。この文書には、多くの著名人や企業の名前が記載されており、日本政府も対応を迫られました。結果として、日本企業や在住者の税務申告漏れが発覚し、日パナマ間で租税に関する協定が締結されることになりました。

文化交流

日本は、文化面でもパナマを支援しています。青年海外協力隊の派遣や、パナマ大学への日本語クラス開設支援などが実施されています。また、リゾート地としてのパナマの人気が高まり、観光目的で訪問する日本人も増えています。スポーツ面では、野球が両国で盛んであり、パナマ出身の野球選手が日本のプロ野球チームで活躍しています。

その他の交流

このように、日本とパナマの関係は、政治、経済、文化など多岐にわたり、両国にとって重要なパートナーシップとなっています。

外交使節

駐パナマ日本大使・公使

歴代の駐パナマ日本大使・公使については、外務省のウェブサイトや関連資料で確認できます。

脚注

（脚注については、元のテキストに記述がないため省略します。）

参考文献

パナマ共和国（Republic of Panama）基礎データ　外務省
国本伊代著、編『パナマを知るための70章【第2版】 (エリア・スタディーズ42)』 2018/1/31

外部リンク

在パナマ日本国大使館
* 駐日パナマ大使館

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