日本とミクロネシア連邦の関係

日本とミクロネシア連邦の関係

日本とミクロネシア連邦は、歴史的な繋がりを背景に、政治、経済、文化など多岐にわたる分野で密接な関係を築いています。ここでは、両国関係の歴史的経緯から、現代の交流までを詳細に解説します。

両国の比較

歴史

日本統治時代

19世紀末、カロリン諸島はドイツ領ニューギニアの一部でしたが、第一次世界大戦で日本が連合国側として参戦し、赤道以北の南洋諸島を占領しました。1922年のヴェルサイユ条約により、日本はこれらの島々を委任統治領として受け継ぎました。

日本は南洋庁をパラオのコロールに設置し、南洋興発株式会社や南洋拓殖株式会社などの国策会社を通じて、島々の開発や産業振興に尽力しました。カロリン諸島では、ヤップ島、トラック島、ポンペイ島（コスラエ島も管轄）に支庁が置かれ、インフラ整備が進みました。これにより、電気や水道、学校、病院などの近代的な施設が整備され、日本人移民の増加とともに経済が活性化しました。

太平洋戦争

第二次世界大戦中、カロリン諸島は戦略上の要地となりました。特にチューク諸島は、日本にとっては絶対国防圏の南端、アメリカ合衆国にとっては日本本土への突破口として、激戦地となりました。「トラック島空襲」は、この地域における最大の戦闘で、日本は多くの艦船と航空機を失い敗北しました。

トラック島空襲で沈没した富士川丸は、現在もチューク諸島沖に残されており、映画『タイタニック』の撮影に使用されたことで、ダイビングスポットとして人気を集めています。

太平洋戦争終結後、日本はカロリン諸島における統治権を失い、代わってアメリカ合衆国が太平洋諸島信託統治領として統治しました。

外交史

ミクロネシア連邦は、1986年にヤップ州、チューク州、コスラエ州、ポンペイ州からなる連邦国家としてアメリカ合衆国から独立しました。1988年12月には日本と国交を樹立し、1989年5月には東京に駐日ミクロネシア連邦大使館が開設されました。一方、日本は1995年1月にポンペイ島の旧首都コロニアに在ミクロネシア連邦兼勤駐在官事務所を開設し、2008年1月には大使館に格上げしました。現在でも大使館は旧首都コロニアに置かれています。

2018年には外交関係樹立30周年を迎え、記念事業が展開されました。

外交関係

歴史的な繋がりから、両国間の要人往来は活発です。

ミクロネシア連邦要人の訪日

歴代のミクロネシア大統領が訪日しており、ジョン・ハグレルガム、ベイリー・オルター、ジェイコブ・ネーナ、レオ・ファルカム、ジョセフ・J・ウルセマルなどが訪日しています。特に、2007年から2015年まで大統領を務めた日系人のマニー・モリは、太平洋・島サミット出席などで計8回訪日し、日本の歴代総理大臣と会談しました。また、ピーター・マーティン・クリスチャン大統領も複数回訪日し、安倍晋三首相との間で「自由で開かれたインド太平洋」構想について協議しました。現大統領のディビッド・W・パニュエロも就任直後に訪日し、安倍晋三首相と会談しました。

日本要人のミクロネシア連邦訪問

2018年以降、内閣総理大臣補佐官の薗浦健太郎や、太平洋島嶼国地域担当大使の髙田稔久がミクロネシア連邦を訪問し、「自由で開かれたインド太平洋」構想について協議しました。2019年には河野太郎外務大臣がミクロネシア連邦を訪問し、デイヴイッド・W・パニュエロ大統領と会談しました。

経済交流

日本は、ミクロネシア連邦にとって重要な援助国の一つであり、2017年までに累計300億円以上の経済援助を実施しています。援助内容は、エネルギー、運輸、水産分野に重点が置かれています。具体的な例として、「太陽光を活用したクリーンエネルギー導入計画」、「コスラエ州電力セクター改善計画」、「国内海上輸送能力向上計画」、「ポンペイ州タカティック漁港整備計画」などがあります。また、「ポンペイ国際空港改善計画」は、日本による最大の援助プロジェクトとして知られています。

2019年の貿易額は、輸入14.9億円、輸出17.9億円とほぼ均衡しています。主な輸入品はマグロやカツオなどの魚介類で、輸出品は工業製品などです。

文化交流

2016年に世界文化遺産に登録されたナン・マドール遺跡は、日本の支援を受けて保全活動が行われています。2019年には、「ナン・マドール・ビジターセンター建設計画」が署名され、起工式も開催されました。また、在ミクロネシア日本国大使館は日本文化の普及に努めており、日本の大学生によるミクロネシア訪問も盛んです。

外交使節

駐ミクロネシア連邦日本大使

（現職）

駐日ミクロネシア連邦大使

マサオ・ナカヤマ（1989～1997年）

ジェームス・A・ナイチ（臨時代理大使、1997～1998年）

アリク・アリク（1998～2003年）

カシオ・イー・ミダ（2004～2008年）

ジョン・フリッツ（2008年～）

脚注

外務省: ミクロネシア連邦基礎データ

関連項目

日本の国際関係
ミクロネシア連邦の国際関係
駐日ミクロネシア連邦大使館
在ミクロネシア連邦日本国大使館
日系ミクロネシア連邦人
トラック島空襲
南洋庁
マニー・モリ
森小弁

外部リンク

在ミクロネシア日本国大使館
* 駐日ミクロネシア連邦大使館

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