日本のチョウ

日本のチョウ：多様性と生態、そして保護の現状

日本には、アゲハチョウ科、シロチョウ科、セセリチョウ科、シジミチョウ科、タテハチョウ科の5つの科に属する多種多様なチョウが生息しています。世界では約18,800種が確認されており、日本からは320種以上が記録されています。そのうち、日本に定着しているのは約250種です。これらのチョウは、在来種だけでなく、近年定着した偶産種や外来種も含まれています。

日本のチョウの種類

日本には様々なチョウが生息しています。

アゲハチョウ科：ギフチョウ、ウスバシロチョウ、アオスジアゲハ、ミカドアゲハなど
シロチョウ科：モンシロチョウ、キチョウ、ツマキチョウなど
セセリチョウ科：キバネセセリ、アオバセセリ、ダイミョウセセリなど
シジミチョウ科：ゴイシシジミ、ウラギンシジミ、ムラサキシジミなど
タテハチョウ科：テングチョウ、アサギマダラ、オオムラサキ、ルリタテハなど

これらのチョウの中には、日本固有の種も存在します。固有種は、その地域にしか生息しない貴重な存在であり、保全の重要性が高いとされています。

日本固有のチョウ

日本には18種の固有種が存在します。これらのチョウは、日本の自然環境に適応して独自の進化を遂げてきました。

ギフチョウ
オキナワカラスアゲハ
ヤマトスジグロシロチョウ
リュウキュウウラナミジャノメ
ヤエヤマウラナミジャノメ
マサキウラナミジャノメ
リュウキュウヒメジャノメ
ヒカゲチョウ
サトキマダラヒカゲ
ヒメウラギンヒョウモン
アサマイチモンジ
ウラキンシジミ
フジミドリシジミ
エゾミドリシジミ
ミヤマカラスシジミ
オガサワラシジミ
オガサワラセセリ
アサヒナキマダラセセリ

これらの固有種は、日本の自然を象徴する存在として、大切に保護していく必要があります。

分布境界線：三宅線と渡瀬線

日本のチョウ相は、地域によって異なっています。その分布境界線として知られているのが、三宅線と渡瀬線です。

三宅線：九州と屋久島の間に位置し、チョウ相が若干異なる
渡瀬線：トカラ列島の悪石島と小宝島の間、または屋久島と奄美大島の間に位置し、旧北区と東洋区の分布境界線となっている

これらの境界線は、日本の生物地理学において重要な意味を持っています。

環境による分類：高山蝶と里山のチョウ

チョウは、生息する環境によっても分類されます。代表的なものとして、高山蝶と里山のチョウが挙げられます。

高山蝶：高山帯に生息するチョウで、アサヒヒョウモン、ウスバキチョウなどが含まれる。氷河期の遺存種と考えられている
里山のチョウ：草原や雑木林に生息するチョウで、オオムラサキ、ゴマダラチョウなどが含まれる。人の手が入ることで維持されてきた環境に依存している

近年、これらの環境が減少しており、それに伴い、これらのチョウも数を減らしています。

分布の北上と偶産種の定着

地球温暖化などの影響により、チョウの分布が北上したり、これまで偶産種とされていたチョウが定着したりする現象が見られています。これは、日本のチョウ相が変化していることを示唆しています。

チョウの保護

チョウの保護は、生態系の保全において重要な課題です。日本では、国内希少野生動植物種に指定されたチョウに対して、保護増殖事業が実施されています。また、NGOや地方自治体による保護活動も行われています。

保護増殖事業の対象種（2024年現在）

オガサワラシジミ
ツシマウラボシシジミ
ゴイシツバメシジミ
ウスイロヒョウモンモドキ
タカネヒカゲ八ヶ岳亜種

これらの活動を通じて、チョウの生息環境を守り、多様性を維持していくことが重要です。


日本のチョウは、その美しさだけでなく、生態系における重要な役割を担っています。チョウの保護を通じて、豊かな自然を守り、次世代に引き継いでいくことが私たちの使命です。

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