日本の呼出符号

日本の呼出符号（コールサイン）について

日本の呼出符号、一般に「コールサイン」と呼ばれるものは、国内の無線局を特定するための一意の識別符号です。これには放送局も含まれます。国際電気通信連合（ITU）が日本に割り当てたコールサインの範囲と、その変遷、具体的な割り当てルールについて詳しく見ていきましょう。

コールサインの割り当て経緯

第二次世界大戦以前、大日本帝国は国籍識別符号として「J」を使用していました。しかし、1947年のアトランティックシティ会議で、敗戦国であったため、国籍符号列の一部が変更され、現在の2文字構成となりました。

地上基幹放送および地上一般放送

地上基幹[[放送局]]（短波放送を除く）と地上一般[[放送局]]では、「JO」に続く2つの英字に、記号「-」と英数字が付加されます。この英字は放送の種類を示し、以下のように分類されます。

NHK:
総合放送（テレビ・ラジオ第1・FM）: 末尾がK、G、P、Q
教育放送（テレビ・ラジオ第2）: 末尾がB、C、D、Z
民間放送:
中波・テレビ兼営、または中波単営: 親局は末尾がR（先発局）またはF、支局は親局の末尾に応じてO、E、W、S（Rの場合）、またはL、M、N、S（Fの場合）
テレビ単営: X（先発局）、H、I、L、M、Y
FM放送（単営）: U（先発局）、V、W（外国語放送）

3文字目は、初期のテレビ局やFM局を除き、県名や局名のローマ字表記の頭文字が用いられることが多いです。ただし、テレビ単営局には例外もあり、沖縄テレビ放送のJOOF-DTVのように4文字目がFであったり、テレビ埼玉のJOUS-DTVのようにSであったり、北海道文化放送のJOBM-DTVのようにMであったりする例があります。

デジタルテレビ放送では、コールサインは親局にのみ指定され、中継局には指定されません。放送大学は、かつてNHK教育放送と同様の「JOUD-DTV」を使用していましたが、地上局の廃止に伴い返上されました。

VICS（超短波文字多重放送）

VICSでは、NHK-FM放送に重畳して道路交通情報を提供しており、「JOVS-FCM」に続く数字が地域を表します。

コミュニティ放送および臨時目的放送

コミュニティ放送や臨時目的放送では、「JOZ」に続く数字が管轄の総合通信局を示し、その後の英字で詳細が区別されます。

短波放送

短波放送では、「JO」に続く1つの英字と最大2つの数字が用いられます。日経ラジオ社（ラジオNIKKEI）がこの形式を使用しています。

実験試験局、実用化試験局、地上基幹放送試験局

実験試験局や試験局は、かつて様々な放送技術の開発に用いられましたが、現在は全て廃局しています。

移動受信用地上基幹放送

移動受信用地上基幹放送では、「JO」に続く2つの英字と英数字が使用されましたが、現在は全て廃局しています。

衛星基幹放送

衛星基幹放送では、放送衛星システムやスカパーJSATに特定のコールサインが割り当てられています。

海岸局など

海岸局など、短波帯以下の周波数を使用する無線局では、短波放送の地上基幹[[放送局]]に類似した形式のコールサインが用いられます。海上自衛隊の対潜水艦超長波通信送信所など、一部の局は非公開とされています。

無線標定陸上局

海洋レーダーでは、モールス符号で識別信号を送信し、「JOR」に続く4つの数字で構成されるコールサインが指定されます。

標準周波数局

標準周波数局として、JJYが運用されています。

特別業務の局

気象無線模写通報では、気象庁が「JMH」などのコールサインを使用し、船舶に気象情報を提供します。

船舶局

船舶には、管海官庁から信号符字が付与され、無線電信を有する船舶には「JAAA - JSZZ」、無線電話のみの船舶には「JD - JM」で始まる6文字の信号符字が使用されます。

アマチュア局

アマチュア局のコールサインは、世界的には「1 - 2字 + 1数字 + 1 - 4字」または「3字 + 1数字 + 1 - 3字」の形が一般的ですが、日本では「2字 + 1数字 + 2 - 3文字」の形が用いられます。

プリフィックス: 「2字+1数字」の部分で、国籍と管轄の総合通信局を示します。日本では、JA - JS、7J - 7N、8J - 8Nが用いられます。地方局別の数字は、地域を表します。
サフィックス: 「1 - 5字」の部分で、局を識別します。

コールサインは、各総合通信局ごとに、JA→JH→JR→JE→JF→JG→JI→JJ→JK→JL→JM→JN→JO→JP→JQ→JSの順に発給されます。関東総合通信局ではコールサインが枯渇し、期限切れのコールサインが再指定されるようになりました。

アマチュア局におけるプリフィックスの特例

JD1: 小笠原諸島に指定されます。
7J: かつて在日外国人局に指定されていましたが、現在は日本人と同様のコールサインが指定されます。
7K - 7N: 関東総合通信局管内でコールサインが枯渇した際に用いられます。
8J、8N: 記念局や臨時局、極地の局に指定されます。
* 8M: 例外的な使用例があります。

アマチュア局におけるサフィックスの特例

サフィックスは通常2-3文字で構成され、戦後のアマチュア無線再開初期には2文字のサフィックスが、その後3文字のサフィックスが割り振られました。Q符号などの通信符号に使われる文字は原則欠番となります。

2004年からは、8Jまたは8Nで始まる特別局は、プリフィックスを1 - 5字の範囲で選ぶことができ、サフィックスの文字数と資格は関連付けられていません。また、旧コールサイン復活制度により、廃局したアマチュア局のコールサインを再指定することも可能です。

この詳細な解説を通じて、日本の無線局における呼出符号の複雑さと、その背後にあるルールを理解する一助となれば幸いです。

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