日本コロムビア硬式野球部

日本コロムビア硬式野球部

日本コロムビア硬式野球部は、かつてレコード会社の日本コロムビアを母体として活動していた社会人野球チームです。神奈川県川崎市を拠点に活動し、日本野球連盟に所属していました。1932年に設立され、約40年間の歴史を刻んだ後、1971年に廃部となりました。

チームの歩み

チームは1932年、神奈川県川崎市に誕生しました。創部から間もない1933年には、社会人野球の主要大会である都市対抗野球大会に初めて出場する快挙を成し遂げます。さらに、その2年後の1935年には早くも同大会で準優勝を果たし、全国的な強豪としての地位を確立しました。

戦後もチームは力を維持し、1954年には日本産業対抗野球大会（現在の社会人野球日本選手権大会の前身にあたる大会）に初出場し、ここでも準優勝という好成績を残しました。そして、1964年には再び都市対抗野球大会の決勝に進出し、2度目の準優勝に輝いています。長きにわたり社会人野球界で活躍したチームでしたが、1971年に活動を終了し、廃部となりました。

主要大会での足跡

日本コロムビア硬式野球部は、全国大会および各地の主要大会で輝かしい成績を残しました。

都市対抗野球大会: 通算17回の出場経験を持ちます。特に、1935年と1964年には決勝に進出し、準優勝という最高成績を2度記録しました。
日本産業対抗野球大会: 6回出場し、1954年に準優勝を飾りました。

これらの全国大会に加え、各地で開催されたJABA（日本野球連盟）主催の大会でも実績を重ねています。

JABA九州大会：1957年に優勝しました。
JABA長野県知事旗争奪野球大会：1959年に優勝しました。
JABA広島大会：1965年、1966年、1967年と3年連続で優勝を果たしました。
JABA伊勢大会：1968年、1969年と2年連続で優勝しました。

これらの成績は、チームが全国レベルの強豪であり続けた証と言えるでしょう。

プロ野球界へ進んだ選手たち

日本コロムビア硬式野球部は、多くの有能な選手をプロ野球界に輩出しました。以下に主な出身選手の一部を挙げます。

若林忠志（投手）- 1936年に大阪タイガースへ入団
横沢七郎（内野手）- 1936年に東京セネタースへ入団
佐藤喜久雄（外野手）- 1936年に東京セネタースへ入団
寺内一隆（外野手）- 1937年にイーグルスへ入団
室井豊（捕手）- 1938年にライオン軍へ入団
熊耳武彦（捕手）- 1946年にセネタースへ入団
荻島秀夫（外野手）- 1949年に大陽ロビンスへ入団
磯田憲一（内野手）- 1950年に広島カープへ入団
勝田興（捕手）- 1950年に国鉄スワローズへ入団
千頭久米夫（内野手）- 1950年に西鉄クリッパーズへ入団
土屋五郎（内野手）- 1950年に国鉄スワローズへ入団
野本喜一郎（投手）- 1950年に西日本パイレーツへ入団
藤田宗一（外野手）- 1950年に国鉄スワローズへ入団
古谷法夫（投手）- 1950年に国鉄スワローズへ入団
根本陸夫（捕手）- 1952年に近鉄パールスへ入団
古川啓三（捕手）- 1959年に大阪タイガースへ入団
高井諭（投手）- 1967年ドラフト4位でサンケイアトムズへ入団
安藤峰雄（投手）- 1968年ドラフト10位で東京オリオンズへ入団
近藤重雄（投手）- 1971年ドラフト5位でロッテオリオンズへ入団

また、チーム廃部後に他の社会人チームを経てプロ入りした選手もいます。

小俣進（投手）- 廃部後大昭和製紙へ移籍、1972年ドラフト5位で広島東洋カープへ入団
原田治明（外野手）- 廃部後三菱自動車川崎へ移籍、1972年ドラフト4位で読売ジャイアンツへ入団

元プロ選手の登録

チームには、プロ野球でのプレー経験を持つ選手が社会人野球の競技者として登録された例もあります。彼らはチームの強化に貢献しました。

木場巌（投手）- 元：大映スターズ
島方金則（内野手）- 元：近鉄パールス
富松信彦（外野手）- 元：パシフィック他

結び

約40年間にわたり活動した日本コロムビア硬式野球部は、都市対抗野球や日本産業対抗野球大会で常に上位を争う存在として、社会人野球の歴史に重要な足跡を残しました。また、数多くの優れた選手をプロ野球界に送り出し、日本野球全体の発展にも貢献しました。その歴史は、神奈川県、特に川崎市における野球の発展を語る上で欠かせない一章となっています。

関連項目

社会人野球チーム一覧
都市対抗野球大会 (神奈川県勢)

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