日本パルプ工業

日本パルプ工業株式会社の歴史

日本パルプ工業株式会社（にっぽんパルプこうぎょう、英名：Nippon Pulp Industry Co., Ltd.）は、1937年に設立された製紙会社で、その後、1979年に王子製紙（現・王子ホールディングス）に合併されるまでの間、様々な挑戦と変革を経てきました。

設立と初期の課題

この会社は、レーヨン用パルプの生産を主な目的として設立されました。当時、飫肥杉の間伐材を原料とするパルプの生産に取り組み、工場の立地は飫肥杉の産地である宮崎県南部の日南市に選ばれました。最初の工場が1938年11月に操業を開始しましたが、飫肥杉から良質の人絹パルプが得られないという問題に猛然と直面します。このため、早期に経営が困難となりました。

王子製紙との提携

その困難を乗り越えるため、当時最大手の王子製紙から経営支援を受けることになります。王子製紙は日本パルプ工業の株式の過半数を所有し、経営・技術的な支援を行うこととなりました。社長には王子製紙の社長である高嶋菊次郎が兼任し、東京にある王子製紙の本社内に移転しました。この支援により、操業は安定し、工場は正常な運営へと向かうことができました。

戦争と復興

しかし、1945年、太平洋戦争の末期には工場は空襲に見舞われ、特に最後の空襲では大きな被害を受けました。終戦後の1945年11月には復旧作業が完了し、1946年には王子製紙の傘下から独立することになります。初めて襲った試練を乗り越えた後、3月には抄紙機を設置し、洋紙の生産を開始しました。

製品転換と成長

その後、1950年代を通じて日本パルプ工業はパルプの生産から洋紙の生産へとシフトしていくことになります。1952年には新たに鳥取県米子市に米子工場を開設し、多様な製紙用製品の生産を行いました。1962年には米子工場に塗工紙工場が完成し、アート紙やコート紙の製造に乗り出します。1960年代に入ると、高付加価値の製品群へと重心を移し、情報用紙や高級白板紙など、新たな市場にもアプローチしました。

合併への道

オイルショック以降、日本パルプ工業は企業体質の強化が求められ、1979年には王子製紙と合併することに至ります。合併の利点には、両社の製品のバランスが取れること、全国的な工場配置による生産の合理化が挙げられました。最終的に、日本パルプ工業は解散し、王子製紙にその名を受け継がれることとなります。

年表とデータ

• - 1937年6月 - 日本パルプ工業設立（本店：大阪市北区）
• - 1938年11月 - 飫肥工場が操業開始（1950年1月に日南工場へ改称）
• - 1946年1月 - 王子製紙の傘下から独立。
• - 1952年11月 - 米子工場が操業開始。
• - 1979年3月 - 王子製紙と合併。

拠点と関連する人物

本社は東京都千代田区丸の内に置かれ、日南工場と米子工場は、それぞれ王子製紙の事業統合後も存在し続けています。重要な人物としては、社長に就任した高嶋菊次郎や、その後の社長である足立正が挙げられます。

このように、日本パルプ工業は製紙業界において重要な役割を果たし、数十年にわたり変化を続けながら、最終的には王子製紙へ統合される形でその歴史を閉じました。

もう一度検索