日本文化協会

日本文化協会の概要

日本文化協会（にほんぶんかきょうかい）は、昭和前期に設立された文化団体であり、国民精神文化研究所の協力機関のひとつとして活動していました。この協会は1934年2月11日に設立されましたが、第二次世界大戦後のGHQ（連合国軍総司令部）の命令によって解散を余儀なくされました。

設立の背景と初期の活動

設立当初の理事長には文部次官の粟屋謙が就任し、常務理事には松谷元三、伊東延吉、岡田恒輔、藤澤親雄といったメンバーが名を連ねていました。翌年には、新たに関屋龍吉や山本勝市が常務理事に加わり、組織の基盤が強化されました。文部省が主導したこの協会は、研究部、調査部、総務部、思想部、出版部の5つの部から構成されており、研究部内には日本精神、教育学、法律学、経済学、芸術の各研究部会が存在していました。

研究生は年度ごとに五名が選ばれ、自由な議論を促進するために毎週月曜日の夜に研究会を開催し、各自が研究成果を発表しました。文部省との連携のもと、出版部では「日本文化」という刊行物が定期的に発行され、厳選された論文が掲載されました。

重要な人物と思想

実業家であった松谷元三は協会の設立に資金を提供し、文学や武道、神道、仏教、国学などの各分野から研究生を募りました。この協会は、教育と文化の促進を目的とし、特に思想部では思想犯に関する教育や、治安維持法で逮捕された活動家の再起を助ける役割も果たしました。

研究生の一人、萩谷朴は、松谷元三が高名な相場師であったことや、彼を後押しした本願寺派僧侶の原子廣輾についての回想を残しています。この協会は、文化や思想の再生を目指す場であったといえるでしょう。

当協会には著名な研究者も関与しており、紀平正美や久松潜一、折口信夫といった人々が専門委員として活動しました。特に、折口信夫は民俗学の権威として知られています。

影響と後世への影響

戦後、研究生だった角川源義は、父からの資金で新たに研究所を設立しようと考えましたが、その際に柳田国男から出版事業を選ぶように助言されました。この経緯から、出版業界での活動を志すようになったと言われています。

協会が発行した「日本文化」は、昭和12年7月に創刊され、19冊目の刊行まで続きました。また、文芸賞も設置され、昭和14年には真山青果の「元禄忠臣蔵」が第一回の受賞作に選ばれました。

日本文化協会は、日本の文化研究の一翼を担い、さまざまな著名人や思想家がその活動に寄与しましたが、戦後の混乱によって解散したため、その影響は今日までどのように残っているのか、再評価の余地があります。

このように、日本文化協会は、日本の文化と思想の発展において重要な役割を果たした団体であり、その意義を現代においても見直すべきでしょう。

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