日本新八景

日本新八景とは

日本新八景（にほんしんはっけい）は、1927年（昭和2年）に大阪[[毎日新聞]]社と東京日日新聞社が主催し、鉄道省が後援して選定された、日本を代表する8つの景勝地です。この選定は、当時の国民的な関心を集め、観光地としての日本の魅力を再認識させるきっかけとなりました。一般からの投票と、文人、画家、学者、政治家などの名士による審査を経て決定されました。

選定方法

選定にあたっては、まず山岳、渓谷、瀑布、温泉、湖沼、河川、海岸、平原の8部門ごとに、一般からのハガキ投票が実施されました。投票期間は4月10日から5月20日までで、各部門の上位10位までが候補地として選ばれました。ただし、選考対象から除外されるものとして、既に広く知られていた日本三景や富士山、人工的な名勝（後楽園や錦帯橋など）が挙げられました。

その後、選ばれた候補地の中から、各界の著名人による審査が行われ、最終的に八景が決定しました。選ばれた景勝地には、著名な文人や画家が実際に訪れ、その紀行文が新聞紙上に掲載されました。また、八景の選に漏れた景勝地の中から、日本二十五勝、日本百景も選定されています。

選定の背景

当時、一般の人々が観光に関心を持ち始めた時期であり、日本新八景の選定は、国民的な関心を集めました。ハガキ投票の総数は、当時の日本の総人口の1.5倍にもなる約9,300万通に達しました。しかし、渓谷部門で1位を獲得した天竜峡が八景に選ばれなかったことで、地元の不満が高まり、東京日日新聞の不買運動が起こるという出来事もありました。

日本新八景一覧

以下が、選定された日本新八景です。

海岸: 室戸岬（高知県） - 紀行作者：田山花袋
湖沼: 十和田湖（青森県・秋田県） - 紀行作者：泉鏡花
山岳: 温泉岳（雲仙岳）（長崎県） - 紀行作者：菊池幽芳
河川: 木曽川（愛知県） - 紀行作者：北原白秋
渓谷: 上高地（長野県） - 紀行作者：吉田絃二郎
瀑布: 華厳滝（栃木県） - 紀行作者：幸田露伴
温泉: 別府温泉（大分県） - 紀行作者：高浜虚子
平原: 狩勝峠（北海道） - 紀行作者：河東碧梧桐

関連情報

日本新八景の選定後も、さまざまな観光地の選定が行われました。

日本二十五勝・日本百景（1927年選定）
新日本観光地百選（1950年選定）
新日本百景（1958年選定）
新日本旅行地100選（1966年選定）
新日本[[観光地100選]]（1987年選定）

これらの選定は、その時代ごとの観光に対する関心や価値観を反映しています。

参考文献

白幡洋三郎「日本八景の誕生-昭和初期の日本人の風景観-」『環境イメージ論』、弘文堂、1992年。

関連人物

青木槐三（東京日日新聞記者、立案者）
林豊洲（十勝毎日新聞社長、狩勝峠の日本新八景入りをめざすキャンペーンを展開）

外部リンク

* 日本八景（昭和2年）の選定内容 - 環境省



日本新八景は、当時の人々が自然の美しさをどのように捉え、どのような場所に魅力を感じていたのかを知る上で、非常に興味深い資料です。これらの景勝地は、今もなお多くの人々を魅了し続けています。

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