日本民主主義文化連盟

日本民主主義文化連盟（にほんみんしゅしゅぎぶんかれんめい）

日本民主主義文化連盟は、戦後の日本において、民主主義の発展と文化の向上を目指した文化・芸術・学術団体の連合組織です。1946年2月21日に結成され、文学、演劇、映画、音楽、美術といった主要な芸術分野に加え、法律や学術分野の団体も参加しました。最盛期には22団体、約3万人もの人々が結集し、文化運動の中核を担いました。

組織の概要と活動

1946年の結成当初から、日本民主主義文化連盟は幅広い分野の文化人、知識人を集めました。参加団体には、新日本文学会、民主主義科学者協会、自由法曹団、民主主義教育研究会、新演劇人協会、日本映画人同盟、日本美術会、ソヴエト研究者協会、日本現代音楽協会、新俳句人連盟などが名を連ねています。これらの団体は、それぞれの専門分野で活動を展開する傍ら、連盟を通じて連携し、文化運動を推進しました。

連盟の活動は、機関誌の発行や出版活動が中心でした。機関誌『文化革命』は、文化運動の理論的な支柱となり、多くの知識人や文化人が寄稿しました。また、『民衆の旗』、『民衆の友』、『働く婦人』、『知識』といった大衆向けの雑誌も発行し、幅広い層への啓蒙活動を行いました。さらに、「文連文庫」として、蔵原惟人、鹿地亘、岩崎昶、羽仁五郎、宮本百合子といった著名な作家や評論家の著作を出版しました。

出版活動においては、文学作品だけでなく、社会科学や教育に関する書籍も刊行しました。河上肇の『思ひ出』、石川啄木の『啄木詩集』といった古典作品の復刻にも力を入れ、文化遺産の継承にも貢献しました。また、『婦人文化講座』や『文化年鑑』、『人民大学講座』など、体系的な学習を支援する出版物も刊行し、文化の普及に努めました。

連盟は、文化運動だけでなく、政治運動にも関与しました。1948年の第24回衆議院議員選挙では、組織部長の松本新八郎が日本共産党の候補として立候補しました。このことから、連盟が特定の政治勢力と密接な関係を持っていたことがわかります。

日本共産党との関係

日本民主主義文化連盟は、日本共産党の文化政策と深く関わっていました。連盟の設立には、同党の文化部門を指導していた蔵原惟人が深く関与しており、機関誌『文化革命』には、同党の文化政策が強く反映されていました。また、ぬやまひろし、野坂参三、小林多喜二、宮本百合子といった同党の幹部や党員作家の著作も出版しており、連盟が同党の文化運動を担う役割を担っていたことがわかります。

その後の活動

1950年以降、日本民主主義文化連盟は団体としての活動をほぼ停止しました。しかし、連盟が戦後の文化運動に果たした役割は大きく、その影響は今日まで残っています。連盟の活動は、戦後の民主化と文化復興を推進し、社会変革を目指す人々に大きな影響を与えました。また、出版活動を通じて、多くの優れた文化人や知識人の著作を世に送り出し、日本の文化発展に大きく貢献しました。

日本民主主義文化連盟は、戦後日本の文化史において重要な役割を果たした団体です。その活動は、日本の民主主義と文化の発展を考える上で、重要な示唆を与えてくれます。

主な刊行物

機関誌『文化革命』
大衆向け雑誌『民衆の旗』、『民衆の友』、『働く婦人』、『知識』
文連文庫：蔵原惟人『文化革命の基本的任務』、鹿地亘『魯迅評伝』、岩崎昶『日本の映画』、羽仁五郎『青年にうったう』、宮本百合子『新しい婦人と生活』など
その他：『啄木詩集』、『河上肇『思ひ出』、『婦人文化講座』、『文化年鑑』、『人民大学講座』など

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