日根野電車区

日根野電車区の解説

日根野電車区は、かつて大阪府泉佐野市の日根野駅周辺に位置し、JR西日本の車両基地として、また運転士が所属する組織として重要な役割を担っていました。主に阪和線と紀勢本線で運用される車両の管理、検査、そして運転士の育成を行っていました。しかし、2012年 6月1日の組織再編に伴い、検修部門は吹田総合車両所の日根野支所と新在家派出所に、乗務員部門は鳳電車区に分離され、日根野電車区としての歴史に幕を閉じました。

概要

日根野電車区は、広大な敷地面積を持ち、阪和線の日根野駅を中心に、大阪府南部と和歌山県に跨る広範囲で運用される列車を支えていました。廃止時には、本区の他に鳳、新在家、天王寺の3つの派出所がありました。日根野本区では、車両の検査や修繕を行う検修施設と、多数の留置線が設けられていました。

各派出所の詳細

- 日根野本区

大阪府泉佐野市日根野に位置し、134,690㎡の広大な敷地を有していました。阪和線の日根野駅と長滝駅の間に位置し、検修施設と留置線が分離されていました。検修施設では、臨検庫、仕業線、試運転線、交番検査を行う交検庫が設けられ、留置線は24線ありました。また、車輪転削庫も設けられ、車輪のメンテナンスが行われていました。

- 鳳派出所

大阪府堺市西区に位置し、運転士が所属していました。38,456㎡の敷地を持ち、阪和電気鉄道開業時に鳳車庫として開設されました。かつては鳳電車区として独立していましたが、1978年の紀勢本線電化に伴い所属車両が日根野電車区に移管され、その後は日根野電車区の下部組織となりました。

- 新在家派出所

和歌山県和歌山市新在家に位置し、47,364㎡の敷地を持っていました。和歌山線和歌山駅 - 田井ノ瀬駅間に位置し、2008年に新和歌山車両センターを組織変更し、日根野電車区の下部組織となりました。主に和歌山線、桜井線、紀勢本線で運用される105系、117系が配置されており、ラッシュ時の223系、225系、日中の103系も留置されていました。

- 天王寺派出所

大阪府大阪市天王寺区の天王寺駅構内に位置していました。

配置車両の略号

日根野電車区に所属する車両には、「ヒネ」の略号が使用されていました。国鉄時代には「天ヒネ」、JR発足後は「近ヒネ」、組織改正により「本ヒネ」、「大ヒネ」、「近ヒネ」と変遷しました。

配置車両

廃止時の配置車両は、本区と新在家派出所に分かれていました。

本区

- 381系電車：特急「くろしお」で運用され、HD編成として6両編成11本と3両付属編成9本が配置されていました。
- 281系電車：特急「はるか」で運用され、HA編成として6両編成9本と3両編成3本が配置されていました。
- 283系電車：特急「くろしお」で運用され、HB編成として6両編成2本と3両編成2本が配置されていました。
- 287系電車：特急「くろしお」で運用され、HC編成として6両編成6本と3両編成5本が配置されていました。
- 223系電車：HE編成として0番台と2500番台の4両編成35本が配置され、阪和線快速系統の主力として活躍していました。
- 225系電車：HF編成として5000番台4両編成29本が配置され、223系と共通運用されていました。
- 103系電車：HK編成として6両編成14本、HJ編成として4両編成8本、羽衣線用L編成として3両編成1本が配置されていました。阪和線の主力でしたが、223系、225系の増備により数を減らしました。
- 205系電車：1000番台4両編成5本が配置され、103系4両編成と共通運用されていました。
- 113系電車：ワンマン運転用に改造された2両編成2本が配置され、紀勢本線で運用されていました。
- クモヤ145形：事業用車両として、構内の入換に使用されていました。

新在家派出所

- 117系電車：4両編成5本が配置され、和歌山線でワンマン運転を行っていました。紀勢本線でも運用されていました。
- 105系電車：ワンマン運転対応の2両編成24本が配置され、和歌山線、桜井線、紀勢本線で運用されていました。

過去の配置車両

- 485系電車：特急「くろしお」で使用されていましたが、後に福知山電車区と南福岡電車区に転出しました。
- 165系電車：紀勢本線の普通列車で使用されていましたが、2002年に運用を離脱し、廃車となりました。
- 101系電車：関西本線の普通列車で使用されていましたが、老朽化のため103系に置き換えられました。
- 123系電車：鳳駅 - 東羽衣駅間で103系に連結して運用されていました。
- クモヤ90形：事業用車両として使用されていました。

歴史

日根野電車区は、1970年に鳳電車区日根野派出所として開設されました。1978年に鳳電車区から独立し、日根野電車区となりました。その後、組織再編を経て2012年に廃止され、その役割は吹田総合車両所の日根野支所と新在家派出所に引き継がれました。

年表

- 1970年：鳳電車区日根野派出所として開設。
- 1978年：鳳電車区から独立し、日根野電車区となる。
- 1985年：関西本線の電車が奈良電車区に転出。
- 1987年：国鉄分割民営化によりJR西日本の施設になる。
- 1997年：鳳電車区を統合し、鳳派出所となる。
- 2008年：新和歌山車両センターを統合し、新在家派出所とする。
- 2012年：検修部門が吹田総合車両所に、乗務員部門は鳳電車区に分離され、日根野電車区廃止。

運転士乗務線区

- 阪和線：全線
- 関西空港線：全線

日根野電車区は、阪和線と紀勢本線の輸送を支える上で重要な役割を果たしてきました。その歴史と足跡は、鉄道ファンのみならず、地域住民にとっても記憶に残るものです。この文章を通して、日根野電車区の役割と歴史を深く理解して頂ければ幸いです。

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