日根野高吉

日根野高吉：信長・秀吉に仕えた戦国武将とその生涯

日根野高吉は、戦国時代を駆け抜けた武将です。美濃国を起源とし、織田信長、豊臣秀吉という時代の寵児に仕え、信濃国諏訪藩（高島藩）初代藩主の地位にまで上り詰めた人物です。従五位下織部正という官位に叙せられ、戸田忠成の娘を正室に迎えました。子には、吉明、高継、高当、そして柴田勝政の妻となった娘がいました。

信長・秀吉への仕えと諏訪への転封

日根野弘就を父に持つ高吉は、幼少期から父に従い、織田信長、そして豊臣秀吉に仕えました。その卓越した能力と武勇は、彼を戦国の世で重要な役割を担う存在へと押し上げました。特に小田原征伐における山中城攻略は、その功績を大きく示す出来事でした。この功により、天正18年（1590年）、近江国愛知郡平松城から信濃国諏訪郡2万7000石に移封され、諏訪藩の初代藩主となりました。

藩主としての治世：高島城築城と藩政の基礎確立

信濃国諏訪郡に移封された高吉は、日根野氏として、高島城の築城を始め、城下町である上諏訪の形成に尽力しました。石高制による検地の実施や、逃散農民の呼び戻しなど、豊臣政権の方針を積極的に取り入れ、近世における高島藩政の基礎を築き上げました。これらの政策は、領内の安定と発展に大きく貢献し、彼の優れた統治能力を示すものといえるでしょう。

朝鮮出兵と伏見城築城への参加

天正20年（1592年）の朝鮮出兵（壬辰倭乱）にも参加し、300人を率いて肥前国名護屋に駐屯しました。朝鮮半島での戦いは、高吉の武勇をさらに世に知らしめる機会となりました。帰国後も、高島城の築城を進め、慶長3年（1598年）に完成させました。さらに、伏見城の築城にも参加し、その手腕を発揮しました。これらの功績は、豊臣政権における彼の地位を不動のものとしたといえます。

関ヶ原の戦い直前の死とその後

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いは、日本の歴史を大きく変える転換期でした。高吉は東軍に与していましたが、本戦が始まる直前の6月26日、高島で病死しました。享年62歳でした。慈雲寺に葬られ、法名は鑑照院殿鉄叟玄心大居士です。

その後、慶安2年（1649年）、高吉の五十回忌に際し、嫡男の吉明は豊後国府内から慈雲寺を訪れ、供養の五輪塔を建立しました。塔には「都盧一團鐵（とろいちだんてつ）」と刻まれています。この供養塔は、1970年11月17日、「日根野織部正高吉供養塔」として下諏訪町の文化財に指定されました。

日根野高吉は、戦国時代から江戸時代初期にかけて活躍した、重要な武将の一人です。信長・秀吉に仕え、藩主として領地経営に手腕を発揮し、朝鮮出兵や城郭築城など数々の功績を残しました。彼の生涯は、戦国時代の激動と、近世への移行期を生き抜いた武将の姿を私たちに伝えています。

もう一度検索