日産・スカイラインターボC

日産・スカイラインターボCの概要と戦績

1983年に全日本耐久選手権（現在のJSPC）および富士ロングディスタンスシリーズのために開発された日産・スカイラインターボCは、R30スカイラインをベースにした特異なグループCカーです。このモデルは、もともと1982年に南アフリカのキャラミ9時間耐久レースに参加したスカイラインターボGr.5を基にしており、耐久レースに向けての調整が施されています。搭載されているエンジンは日産のLZ20B型で、2.1リットルの直列4気筒ターボエンジンです。

プロジェクトの背景

1982年の夏、日産は追浜ワークスやガレージルマン（現在の株式会社ルマン）、東京R&Dと協力し、耐久レースを目的としたグループ5仕様のスカイラインを開発しました。残念ながら、WEC-JAPANへの出場は実現しませんでしたが、1982年11月にはキャラミの9時間耐久レースにエントリーしました。このレースでは元F1ドライバーやラリー界のレジェンドがドライブしましたが、アクシデントによりリタイアとなりました。

1983年には、日産はホシノレーシングやセントラル20、ハセミモータースポーツに対し、耐久レースへの参入を依頼しました。これらのチームはそれぞれ独自の方法でレースに臨みましたが、ハセミモータースポーツは特に注目されました。彼らは南アフリカで使われた耐久仕様のスカイラインを基に、グループCに適合するように改良を行いました。

車両の改造と性能

ハセミモータースポーツは、元々の市販モデルから大きく変容したスカイラインターボCを開発しました。ルーフを削り、車高を低くし、ボディスタイルをより広く、長く設計しました。その結果、空力的な特性は改善される一方で、元々市販車であったため、この車両は唯一のフロントエンジンを搭載したグループCカーとして知られています。しかし、コックピット内の温度が非常に高く、ドライバーは過酷な環境に耐えなければなりませんでした。実際、ドライビングシューズの底が溶ける程の熱さであり、レース後にはすぐに足を冷やす必要があったといいます。

この車両は完走することができなかったため競技成績には恵まれませんでしたが、その迫力あるデザインは人気を博し、多くのファンに愛されました。スカイラインターボCの名称は、1984年のLM・04Cや1985年のマーチ・85Gにも受け継がれましたが、両者は市販モデルとの関連性はありません。

1983年の戦績

スカイラインターボCは1983年に数回レースに参戦しました。

• - 6月5日：富士ロングディスタンスシリーズ Rd.1（富士500km）では、カーナンバー11で出場し、トップからのスタートを果たしたものの、サスペンションのトラブルで43周目にリタイア。
• - 7月24日：富士ロングディスタンスシリーズ Rd.2（富士1000km）において、首位に立つものの、エンジンオーバーヒートで139周でリタイア。
• - 8月28日：鈴鹿1000kmでは106周でリタイア。
• - 10月2日：WEC-JAPANに出場しましたが、88周でオイルリークによりリタイア。
• - 11月27日：富士500マイルに出場し、29周でエンジンオーバーヒートでリタイア。

結論

日産・スカイラインターボCは、その独自のデザインや開発経緯、多くの挑戦を経て、モータースポーツの歴史に特筆すべき車両として位置づけられています。日産はこの気鋭の耐久カーを通じて、耐久レースへの本格的な挑戦を試みたのです。

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