日産・プリメーラ

プリメーラ（PRIMERA）

プリメーラは、日産自動車が1990年から2005年まで生産した乗用車で、特にスバティブでスタイリッシュなデザインと高い性能が特徴でした。日本市場では1990年に発売され、約15年間にわたり販売が続けられ、欧州市場でも生産は2008年まで行われました。オースター（欧州名：ブルーバード）の後継として、主に日本とイギリスで生産されました。

概要

日本国内では、プリメーラは主に20代から40代の若者をターゲットにしたスポーツ志向の車として位置づけられ、高い直進安定性ときびきびしたハンドリングが評価を受けました。一方で、日本市場での硬い乗り心地がクレームとなり、後のマイナーチェンジでは改良が行われました。

ボディタイプには、4ドアノッチバックセダン、5ドアハッチバックセダン、ステーションワゴン（初代のみ）があり、特に初代と2代目モデルはスポーツ性能が強調されました。

初代（P10型）

初代モデルは、1990年から1995年にかけての日本車市場において非常に革新的でした。日本の自動車市場が主にハイソカーブームであった時期に、スタイリングを重視するあまり居住性が犠牲にされる中、プリメーラは機能性とデザインを両立させた数少ないモデルの一つでした。開発には後にR35型GT-Rの開発責任者となる水野和敏が関与していました。

プリメーラは、フォルクスワーゲン・サンタナとの同様の生産技術を活用し、動的性能や実用性に重点を置いて開発されました。特に901運動から得られたフロントマルチリンクサスペンションによるハンドリングは高い評価を受け、「欧州車を超えた」との声もあったほどです。

日本市場では、高級感よりも高い基本性能を重視する流れの中、プリメーラは高い販売実績を記録し続けました。室内は「プリメーラパッケージ」と称され、使い勝手や居住空間が優先されており、そのため広い室内空間と機能的なデザインが特徴的でした。特に、トランクにはパンタグラフ式の金具が採用され、利用者に配慮された設計が目を引きました。

2代目（P11型）

1995年から2001年まで販売された2代目プリメーラでは、安全性能や各部の改良が図られ、従来のプラットフォームを改良した形で生産されました。このモデルでも特に参加した各種モーターイベントやツーリングカー選手権において高い性能を誇り、競技としての側面も強調されていました。

3代目（P12型）

2001年から2008年までは3代目が生産されました。この世代からは全長と全幅が拡大され、3ナンバーサイズのセダンとワゴンが特徴です。エンジンには直噴技術が施されたモデルも導入されるなど、時代のニーズに応じた改良が施されました。

最後のモデルまで、プリメーラの特徴はその機能性と先進的なデザインにあったといえます。特に欧州でのデザイン評価は高く、経済産業省グッドデザイン賞など数々の賞を受賞しました。

車名の由来

「プリメーラ」の名は、スペイン語で「第一級の、最高級の」という意味に由来し、また「カミノ」は「道」を意味しています。

モータースポーツでの活躍

プリメーラは、英国ツーリングカー選手権（BTCC）や全日本ツーリングカー選手権（JTCC）に参戦し、数々の成果を上げました。特に、BTCCにおいては日本車初のシリーズチャンピオンを獲得するなど、その名はモータースポーツ界でも広く知られることとなりました。

このように、プリメーラはただの乗用車にとどまらず、自動車に対する革新や挑戦を象徴する存在として、日産の歴史の中に深く刻まれています。

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