日種

日種とその系譜

日種、または日種族（にっしゅ、サンスクリット: सूर्यवंश sūryavaṃśa）とは、古代インドの王族の一派を指し、特に太陽神ヴィヴァスヴァットを祖先とする系譜を持ちます。日種の伝説は、アヨーディヤー王イクシュヴァークを始祖とし、彼の子孫がインド各地に広がっていったと伝えられています。

伝承と王朝の起源

アヨーディヤー王朝の初代であるイクシュヴァークは、プラーナ文献において、太陽神の孫として位置付けられ、その子孫は「日種」と称されます。彼の系譜は、王族の中で特に重要なものとして扱われており、『ラーマーヤナ』の中心的人物であるラーマやシーターも、イクシュヴァークの血を引く者として描かれています。

プラーナ文献によると、イクシュヴァークからラーマへの系譜には63代の人々が含まれていますが、『ラーマーヤナ』ではその数が35代に過ぎないという違いがあります。この系譜は以下のようになっています：

• - ブラフマー
• - マリーチ
• - カシュヤパ
• - ヴィヴァスヴァット
• - マヌ
• - イクシュヴァーク
• - ククシ
• - ヴィククシ
• - バーナ
• - アナラニヤ
• - プリトゥ
• - トリシャンク
• - ドゥンドゥマーラ
• - ユヴァナーシュヴァ
• - マーンダータ
• - スサンディ
• - ドルヴァサンディ
• - バラタ
• - アシタ
• - サガラ
• - アサマンジャ
• - アンシュマン
• - ディリーパ
• - バギーラタ
• - カクツタ
• - ラグ
• - カルマーシャパーダ
• - シャンカナ
• - スダルシャナ
• - アグニヴァルナ
• - シーグラガ
• - マル
• - プラシュシュルカ
• - アンバリーシャ
• - ナフシャ
• - ナーバーガ
• - アジャ
• - ダシャラタ
• - ラーマ

この系図は、インドの神話や歴史において特別な意味を持ちます。例えば『マハーバーラタ』では、月の系譜であるクル族が重視されていますが、日種に属するバギーラタの物語が特に重要なエピソードとして語られています。彼は天上のガンガー（ガンジス川）を地上に降ろすという偉業を成し遂げました。

その他の王朝

日種に属する他の王朝も存在します。例えば、イクシュヴァークの子ニミによって創られたヴィデーハ王朝は、ミティラーを首都として栄えました。また、イクシュヴァークの弟ナーバーネーディシュタの子孫の中からは、ヴィシャーラ王が現れ、ヴァイシャーリーを治めました。他にも、同じくイクシュヴァークの別の弟であるシャリヤーティ王はドヴァーラカーに王国を設立しました。

また、釈迦族も日種とされており、『カルパ・スートラ』ではジャイナ教の24人のティールタンカラ全員がこのイクシュヴァークの一族から生まれたと伝わります。

このように、日種はインドの文化や宗教、歴史において非常に重要な役割を担っており、彼らの系譜や伝説は現在でも多くの人々の心に残っています。その影響は様々な文学や宗教的なテキストに散見され、インドの歴史理解において欠かせない要素となっています。

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