日野氏 (伯耆国)

日野氏の歴史

日野氏（ひのし）は、平安時代末期から戦国時代にかけて伯耆国日野郡一帯に勢力を持っていた名門の一族です。この一族は平氏の後裔を名乗り、特に『源平盛衰記』においてもその名が記録されています。伯耆国内の有力豪族、小鴨氏や紀氏とともに「日郡司義行」として知られ、当時の日野郡の郡司として重要な役割を果たしていました。

日野氏は、元々平氏に属していたとされていますが、西伯耆の有力者である紀氏が源氏方に転向すると、その動きに追随する形で日野氏も寝返ったと言われています。これにより、伯耆国内では源氏方の紀成盛と平氏方の小鴨基保との間で争いが勃発し、日野氏は源氏側として平氏勢力と対立しました。この争乱は、源氏方の紀成盛が滅亡することで終結しましたが、その影響については資料が不足しているため詳細は不明です。ただし、この争乱は治承・寿永の乱とは異なる小鴨氏と紀氏の間での勢力争いの延長であったと考えられています。

鎌倉時代に突入すると、日野氏は鎌倉御家人として新たな地位を獲得します。特に寛元2年（1244年）7月には、日野長用と日野季長の間で日野郡の新印郷を巡る相論が生じたことが『吾妻鏡』にて記録されています。このように、日野氏の一族は地域内において権力を維持し続けました。さらに、文永9年（1272年）には将軍の惟康親王から土地を領知するよう命じられており、日野氏の重要性が窺えます。

元弘3年（1333年）には、名和長年と後醍醐天皇が船上山に立て籠もり、幕府軍の佐々木清高に立ち向かいました。この時、日野三郎義行とその子の又三郎義泰は、長年の軍勢に加わって活躍したと伝えられています（『古本伯耶之巻』）。

室町時代以降、日野氏は日野衆としてさらに知られるようになりましたが、この時期の詳細な記録は乏しく、戦国時代にかけてもどのように栄えたかは不明です。日野郡は交通や軍事の要所として、尼子氏や毛利氏から注目され、早期に争奪戦の対象となりました。

日野氏の最期についての記録は残されていませんが、近隣勢力の侵攻に伴う戦乱の影響で衰退した可能性が高いと考えられています。一部の伝承によれば、日野郡武庫村の神主・船越氏は日野氏の子孫を名乗っていたとも言われています。また、日野氏が要害山城を本拠地としていたという説もあります。

人物

日野氏に関わる重要人物の一人に、日野景幸がいます。彼は宮氏出身で、日野山名氏の当主、山名藤幸の養子となり、家督を相続した後に日野姓を名乗りました。

参考文献

• - 鳥取県『鳥取県史 第2巻 中世』（1973年）
• - 平凡社地方資料センター編『日本歴史地名大系32 鳥取県の地名』（1992年）
• - 新編倉吉市史編集委員会『新編倉吉市史 第二巻 中・近世編』（1995年）
• - 米子市史編さん委員会『新修米子市史 第一巻 通史編　原始・古代・中世』（2003年）

日野氏はその歴史を通じて、伯耆国における影響力を持ち続け、時代の変遷に伴って数々の出来事に関与してきました。

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