日野資敬

日野資敬（ひの すけのり）は、江戸時代後期の文化・文政期から幕末にかけて活躍した高家旗本であり、高家日野家の8代当主を務めました。

資敬は、丹波国篠山藩の4代藩主であった青山忠裕の子として生まれました。青山家は譜代大名であり、篠山藩は現在の兵庫県篠山市に位置していました。彼が日野家を継ぐことになった経緯は、天保8年（1837年）5月4日に、養父である7代当主・日野資邦（すけくに）の死去によるものでした。これにより、資敬は日野家の家督を相続し、当主となりました。

高家とは、江戸幕府における役職の一つで、儀式や典礼を司る家柄です。高家は、将軍家や朝廷との連絡役を務めることもあり、幕府の儀式において重要な役割を果たしました。日野家は、その高家の一つとして、江戸時代を通じて幕府に仕えました。

天保14年（1843年）8月15日、資敬は12代将軍・徳川家慶（とくがわいえよし）に御目見えしました。これは、将軍に謁見し、正式に幕臣として認められる儀式です。この御目見えによって、資敬は高家当主として、幕府における地位を確立しました。

安政3年（1856年）11月15日、資敬は高家職に就任し、従五位下・侍従・若狭守（わかさのかみ）に叙任されました。これは、高家としての職務を正式に開始し、位階と官職を与えられたことを意味します。侍従は天皇の側近として仕える官職であり、若狭守は若狭国の守護を司る官職です。これらの官職は名誉職としての意味合いが強く、高家の格式を示すものでした。

しかし、万延元年（1860年）12月26日、資敬は高家職を辞職しました。辞職の理由は明確ではありませんが、当時の幕府の政治情勢や、資敬自身の健康状態などが影響した可能性があります。

文久元年（1861年）5月26日、資敬は死去しました。その後、養父・資邦の長男である資訓（すけくに）を養子に迎え、日野家の家督を継がせました。資訓もまた、高家として幕府に仕え、日野家の家名を維持しました。

日野資敬は、幕末の動乱期において、高家として幕府の儀式や典礼を支え、その役割を果たしました。彼の生涯は、江戸時代の武士の生き方を示す一例として、歴史に刻まれています。

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