旧証券取引所とロストラ柱

旧証券取引所とロストラ柱：サンクトペテルブルクの象徴

サンクトペテルブルクのワシリエフスキー島東端、「ストレルカ」（砂嘴）と呼ばれる場所に位置する旧証券取引所とロストラ柱は、ネヴァ川沿いの代表的な観光地です。冬宮殿から宮殿橋を渡り、証券取引所橋を経由してペトロパヴロフスク要塞へと続くこの場所は、歴史的な建造物と美しい景観が調和した魅力的なエリアです。

ストレルカ：歴史と交通の要所

ワシリエフスキー島の東端、ネヴァ川に突き出した「ストレルカ」は、その名の通り「砂嘴」を意味します。ここは、冬宮殿から宮殿橋を渡り、さらに証券取引所橋を渡ることでペトロパヴロフスク要塞へアクセスできる、交通の要所でもあります。その立地の良さから、多くの観光客が訪れる人気スポットとなっています。

旧証券取引所：ギリシャ建築の壮麗な遺産

旧証券取引所は、サンクトペテルブルクのストレルカに位置する歴史的建造物で、ギリシャ建築のリバイバル様式の代表例です。フランスの建築家トマ・デュ・トモンの設計により、1805年から1810年にかけて建設されました。建物は、イタリアのパエストゥムにあるヘラ神殿を模しており、壮大な外観が特徴です。当初は証券取引所として使用されましたが、1939年から2010年まで中央海軍博物館として利用されていました。

建築の特徴：壮大さと装飾

旧証券取引所は、赤い花崗岩の巨大な基盤の上に立ち、44本のドーリア式円柱が建物を囲むペリスタイル構造になっています。建物の上部には、海洋商取引を象徴するネプチューン像や、クアドリガ馬車を模した彫刻群が飾られています。内部には列柱に囲まれた大きな取引場があり、現在では8つの展示室に分かれています。中央の部屋は天窓から自然光が差し込み、格天井で装飾されています。

歴史：設立から博物館へ

証券取引所は、ピョートル大帝の勅令により設立されました。アムステルダムの証券取引所に触発され、ロシアの首都に証券取引所を設けることを命じたのです。1767年には、ワシリエフスキー島の砂嘴の土地開発とサンクトペテルブルク証券取引所の建設が決定されました。その後、様々な紆余曲折を経て、1826年から1832年にかけて建物が完成しました。しかし、1917年のロシア革命と共産主義経済体制の成立により、証券取引所の役割は終焉を迎え、1939年からは中央海軍博物館として利用されることになりました。

中央海軍博物館：ピョートル大帝の遺産

中央海軍博物館は、1709年にピョートル大帝が設立した「模型室」を起源とし、海軍に関する貴重なコレクションを収蔵していました。ソビエト時代には、個人のコレクションから没収された多くの作品も収蔵されました。2010年には、海軍博物館は別の場所に移転し、旧証券取引所は新たな活用方法が検討されるようになりました。一時、石油商品の取引所としての利用も検討されましたが、最終的にはエルミタージュ美術館に譲渡され、現在は博物館の展示スペースとして活用されています。

ロストラ柱：海軍の勝利を讃えて

旧証券取引所の前には、半円形の広場があり、その先にロストラ柱が立っています。ロストラ柱は、海軍の勝利を記念して建てられた一対の戦勝柱です。ドーリア式の円柱は花崗岩の台座の上に建てられ、ブロンズの錨と4組のブロンズの船首（ロストラ）で飾られています。各柱の基部には、それぞれロシアの主要な河川を象徴する大理石像が置かれています。元々は灯台としての役割も果たしており、頂上にはギリシャ風の松明がありましたが、現在はガス松明に置き換えられ、祭典の際に点火されます。

まとめ：歴史と美の融合

旧証券取引所とロストラ柱は、サンクトペテルブルクの歴史と文化を象徴する重要な建造物です。ギリシャ建築様式の壮麗な旧証券取引所、そして海軍の勝利を記念するロストラ柱は、ネヴァ川沿いの景観を美しく彩り、多くの観光客を魅了しています。これらの建造物は、その歴史的な背景と美しいデザインが融合し、サンクトペテルブルクの観光において欠かせない存在となっています。

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