早来駅

早来駅（はやきたえき）は、北海道勇払郡安平町早来大町に位置する北海道旅客鉄道（JR北海道）室蘭本線の鉄道駅です。歴史的には、かつて地域とを結ぶ早来鉄道の起点駅であり、現在もそのルートを引き継ぐあつまバスへの乗り換え拠点としての役割も担っています。

歴史

早来駅は、明治時代に北海道炭礦鉄道によって敷設された路線の駅として誕生しました。具体的には、1894年（明治27年）8月1日に北海道炭礦鉄道室蘭線の苫小牧駅と追分駅間に開業し、当初は一般駅として貨客の取り扱いを行っていました。

開通から数年後の1904年（明治37年）12月には、三井物産合名会社が木材運搬のため、当駅から厚真村字チケッペ（現在の厚真町知決辺）まで約7kmの馬車軌道を敷設しており、地域産業との連携も見られました。1906年（明治39年）10月1日には、北海道炭礦鉄道の路線が国有化されたことに伴い、官設鉄道の駅となりました。その後、1909年（明治42年）10月12日には線路名称が室蘭本線に制定され、同線の駅としての位置づけが明確になりました。

大正時代に入ると駅施設の改築も行われています。1911年（明治44年）には、同年8月の皇太子（後の大正天皇）の北海道訪問に合わせて、駅舎の改築やホームの延長・拡幅といった構内改良工事が実施されました。また、1922年（大正11年）1月18日には、地域内の輸送を担う早来軌道（後に早来鉄道と改称、現在のあつまバスの前身の一つ）が早来駅と知決辺駅（後の厚真駅）間に開業し、早来駅は鉄道と軌道の接続点となりました。早来鉄道線は後に幌内駅まで延伸されましたが、1951年（昭和26年）3月27日に全線が廃止され、バスへと転換されています。

戦後、輸送形態の変化に伴い、早来駅での貨物や荷物の取り扱いは段階的に廃止されていきました。1979年（昭和54年）8月20日には構内で貨物列車の脱線事故が発生しています。1980年（昭和55年）5月15日には貨物取扱いが廃止され、同時に駅業務が業務委託化されました。1981年（昭和56年）11月2日には室蘭本線の岩見沢駅～沼ノ端駅間がCTC（列車集中制御装置）化され、早来駅は隣の追分駅の管理下に置かれることになります。さらに1984年（昭和59年）2月1日には荷物取扱いも廃止され、同年4月1日には無人駅（簡易委託による窓口業務は存続）となりました。

国鉄分割民営化により、1987年（昭和62年）4月1日からは北海道旅客鉄道（JR北海道）に継承されました。現在の駅舎は1989年（平成元年）12月18日に竣工したもので、「安平町物産館（旧：早来町物産館）」と一体となった構造となっています。

地域に関連する歴史として、かつて計画された金山線（後の富内線）の誘致活動も特筆されます。当初、この路線は早来駅を起点とする構想があり、地元住民による熱心な請願が行われましたが、最終的には沼ノ端駅起点に変更されたため、一時建設を巡る反対運動なども発生しました。

駅名の由来

駅名は、所在地である早来の地名に由来しています。その地名の由来については複数の説が存在します。

アイヌ語に由来するという説では、現在の早来市街を流れるトキサラマップ川が、アイヌ語で「チペㇱナイ（ci-pes-nay）」（我ら・下る・川）と呼ばれていたことが基にあるとされます。この川沿いの道が比較的勾配が緩やかであったことから、「サㇰルペㇱペ（sak-rupespe）」（夏・越える沢道）や「サㇰル（sak-ru）」（夏・道）とも称され、これに漢字を当てて「早来（さっくる）」と読ませたものが転じて「はやきた」となったという説です。一方で、「ハイキト（hai-ki-to）」（イラクサ・茅・〔のある〕沼）に由来するという説も提唱されていますが、これは地名研究家などからは懐疑的な見方を示されています。

和名に由来するという説も語り継がれています。真偽は定かではありませんが、室蘭方面と岩見沢方面から鉄道工事を進めていた二人の技師が、現地調査中にこの地で偶然出くわし、それぞれの進捗が「早かりし」ことを願って名付けた、という逸話があります。また、この地に入植した草分けの一人である矢部留太郎氏が語ったとされる由来の話も伝わっています。

駅構造

早来駅は、複線区間に設けられた地上駅で、相対式ホームが2面2線配置されています。ホーム間の移動は、1番線ホームの北端部と2番線ホームの北端部を結ぶ「コの字型」の跨線橋を利用します。駅舎に面している東側のホームが上り列車の発着する1番線（長万部方面）、向かい側のホームが下り列車用の2番線（岩見沢方面）となっています。

過去には貨物輸送が行われていた名残として、1993年頃には1番線から分岐して駅舎南側のホーム切欠き部に至る貨物側線が1線、また1983年頃には貨物列車の待避に使われた上下共用の中線が1線存在していましたが、これらは後に撤去されています。

現在は追分駅が管理する簡易委託駅となっており、駅舎は構内の東側、上り1番線ホームの中央付近に位置しています。現駅舎は1989年築の建物で、安平町が運営する物産館が併設されており、駅の機能と地域の情報発信・交流拠点の役割を兼ね備えています。

駅周辺

駅は安平町の行政中心である早来市街地に位置しており、周辺には町の主要な施設が集まっています。安平町役場をはじめ、苫小牧警察署早来駐在所、早来雪だるま郵便局、北海道銀行早来支店、とまこまい広域農業協同組合（JAとまこまい広域）早来支所などの公共・金融・農業関連施設が点在します。教育機関としては安平町立早来小学校が近くにあります。

交通網では、国道234号線や北海道道10号千歳鵡川線が駅周辺を通っています。また、駅前にはあつまバスの停留所があり、地域のバス路線への乗り換えが可能です。

その他、駅周辺にはときわ公園のような憩いの空間や、鶴の湯温泉といった温浴施設、さらには社台スタリオンステーションやノーザンファームといった、馬産地である安平町を象徴する施設も立地しています。

隣の駅

JR北海道 室蘭本線：遠浅駅 - 早来駅 - 安平駅

かつて存在した早来鉄道線（廃止）：早来駅 - 中土場駅

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