遠浅駅

遠浅駅（とあさえき）

北海道勇払郡安平町遠浅に所在する、北海道旅客鉄道（JR北海道）室蘭本線の駅です。電報略号はトサ。この駅は、歴史的な経緯を持ち、地域の要請によって現在の場所に開設されました。

歴史

遠浅駅は1902年（明治35年）9月21日、北海道炭礦鉄道が運営する沼ノ端駅と早来駅の間に新設され、一般駅として営業を開始しました。当初は現在地から約700メートル南方の高台に建設される計画でしたが、地元住民の強い要望により、現在の場所に設置が決定しました。駅用地となった土地の一部は、もともと大島清吉氏が牧場を営んでいた場所でしたが、停車場と新しい市街地の開発のために国へ提供されました。

1906年（明治39年）10月1日には、北海道炭礦鉄道の鉄道路線が国有化されたことに伴い、官設鉄道の駅となりました。その後、1909年（明治42年）10月12日に線路名称が制定され、室蘭本線に属する駅となります。駅舎は1923年（大正12年）に二代目の建物に改築されました。ホームの改修は1953年（昭和28年）に行われています。

鉄道による貨物輸送が縮小される中で、1972年（昭和47年）3月16日には貨物取扱いが廃止されました。続いて1980年（昭和55年）5月15日には荷物取扱いも廃止され、これをもって駅は無人化され、簡易委託による営業となりました。現在の三代目駅舎は1981年（昭和56年）1月に供用が開始されたものです。同年11月2日には、室蘭本線の岩見沢駅～沼ノ端駅間でCTC（列車集中制御装置）化が実施され、遠浅駅は追分駅の管理下に置かれることになりました。

1987年（昭和62年）4月1日、国鉄分割民営化によりJR北海道に継承されました。その後、詳しい時期は不明ですが、簡易委託による業務も終了し、完全な無人駅となっています。

駅名の由来

駅名は所在地である「遠浅」という地名に由来しています。この地名はアイヌ語にルーツを持つとされており、いくつかの説が存在します。アイヌ語研究者である山田秀三氏は、「トアサㇺ（to-asam）」、すなわち「沼の奥」を意味する言葉から転じたものではないかと推測しています。明治期に作成された地図には、安平川の西側の支流沿いに細長い沼が描かれており、そこに「トアサ」という地名が記されていることが、この説を裏付ける根拠の一つとされています。

駅構造

遠浅駅は、相対式ホーム2面2線を有する地上駅です。複線区間に位置していますが、分岐器を持たない「棒線駅」という構造になっています。ホーム間は跨線橋によって連絡されており、1番線ホームの南側と2番線ホームの北側とを結んでいます。跨線橋の形状は、アルファベットの「L」の字を背中合わせにしたような形をしています。

駅舎は線路の南東側、岩見沢方面に向かって右手側に位置しており、上り列車が発着する1番線ホームの中央部分に接しています。無人駅であり、追分駅が管理しています。現在の駅舎は、かつての有人駅時代の建物を改築したもので、JR北海道の駅舎によく見られるタイプの一つであり、特に虎杖浜駅の駅舎と同型です。ただし、駅舎正面の破風部分の配色が異なり、遠浅駅ではえんじ色が用いられています。駅舎内部にはトイレも設置されており、こちらも虎杖浜駅のトイレと配置や個数が同じである点が特徴です。

駅周辺

駅周辺には住宅が集積している地域があり、その周囲には広大な酪農地帯が広がっています。駅に近接して北海道道482号豊川遠浅停車場線が通っており、さらに北西には国道234号線が走っています。

その他、周辺には苫小牧警察署遠浅駐在所、遠浅郵便局といった公共施設や、安平町立遠浅小学校があります。地域住民の憩いの場である遠浅公園や、地名の由来とも関連が考えられる遠浅川も近くを流れています。公共交通としては、あつまバスの「遠浅駅前」停留所が利用可能です。鉄道では、室蘭本線の隣駅として沼ノ端駅（駅番号H17）と早来駅があります。また、南西に離れて千歳線の植苗駅も位置しています。

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