昌慶丸

昌慶丸（しょうけいまる）

昌慶丸は、鉄道省が運行していた関釜航路および青函航路の鉄道連絡船で、景福丸型の第3船にあたります。この船は、姉妹船として知られる景福丸と徳寿丸と共に、1920年の新造計画によって建造されました。実際の建造は1923年に三菱重工業の神戸造船所で行われ、同年のうちに就航しました。速力は20ノット以上あり、景福丸型の中でも特に優れた性能を誇っていたことが特徴です。

命名の由来

昌慶丸という名は、旧朝鮮時代の王宮である昌慶宮に由来しています。この命名には、歴史的背景や文化に対する敬意が込められていることでしょう。

航跡の概要

就航までの道のり

関釜連絡船や南満洲鉄道経由の日中連絡運輸が始まると、旅行者の需要が急増しました。この流れに対応するため、景福丸型の船が新たに3隻建造され、昌慶丸はその中の一隻として誕生しました。就航に伴い、下関と釜山間の移動時間は大幅に短縮され、昼間においては約8時間、夜間では9時間での航行が可能となりました。

関釜航路での運用

昌慶丸は関釜航路に就航した後、1942年には釜山港で座礁し、一時的に運航を停止しました。この期間は約1ヶ月とも言われています。その後、1943年からは博釜航路に転用されましたが、博多湾が戦争による機雷封鎖を受けて使用不能となったため、大きな影響を受けました。無事に博多湾から脱出した後は、1945年6月から中国大陸との航路で活躍します。しかし、同年7月30日には宮津港でアメリカ軍の空襲を受け、浸水して擱座しました。その後は放置されることとなります。

戦後の運命

終戦後、昌慶丸は一時的に放置されていましたが、青函航路の人手不足を解消する目的で1946年に引き揚げられました。1947年には修理が完了し、その年の9月23日から青函航路での運航が再開されました。しかし、1948年には新型の洞爺丸型船が続々と就航し、昌慶丸は同年10月10日に終航を迎えました。

1952年の朝鮮戦争中は、アメリカ軍に徴用されて兵士や物資の輸送に従事することになります。1954年9月には洞爺丸台風による事故が発生し、これを受けて船舶に対する訓練の必要性も高まりました。

訓練船としての役割

昌慶丸は1955年12月18日から訓練船として函館港の有川岸壁に繋留されることになりました。1957年10月までこの訓練船としての役割を果たした後、1961年に売却され解体されました。このように、昌慶丸は様々な歴史的な出来事と共に、多くの航海を重ねてきた船であったのです。

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