明極楚俊

明極楚俊（みんき そしゅん）

明極楚俊は、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて日本に禅の教えを広めた禅僧であり、元から日本へ渡来しました。彼の本名は黄（こう）で、後に仏日燄慧禅師と諡されました。明極という号を持つ彼は、特に元の禅宗界において高名な存在でした。

人物・来歴

彼は1262年、中国の南宋の景定3年に、慶元府昌国県で生まれました。彼が出家したのは12歳の時で、霊巌寺の竹牕喜から剃髪を受けることによって、正式に僧侶となりました。その後、育王山の横川如珙に学び、禅の奥義を悟ります。さらに、霊隠寺の虎巌浄伏の門下に移って修行を重ね、法嗣として活躍。また天童寺では止泓道鑑の元で学び、後には金陵の奉聖寺にて出世を果たし、いくつかの寺で住持を務めます。

虎巌浄伏の元で多くの教えを受けた彼は、元の禅宗界で確固たる地位を築いたのです。それだけでなく、婺州の双林寺の主となるなど、その名声は広まりました。

来日

1329年、日本の大友貞宗からの使節に招かれ、渡日を決意します。竺仙梵僊を伴い、他の僧侶とともに博多に到着したとき、彼は68歳でした。

翌年には鎌倉幕府に呼ばれて関東へ下向し、途中京都で後醍醐天皇に拝謁。その際、仏日燄慧禅師の号を賜ります。この年、北条高時からの要請で建長寺の住持に就任し、竺仙が彼を支えました。

この頃、明極は後醍醐天皇の復位を予言したとも言われ、実際に天皇が復位した際には、彼のもとに招かれ、南禅寺の第十三世として迎え入れられました。1340年には建仁寺の第二十四世となり、さらに摂津に広厳寺を開山します。これは彼の地位と影響力を示す重要な出来事でした。

最晩年と遺産

彼は1336年に建仁寺の方丈で入寂し、生涯を全うしました。享年は75でありました。残した遺偈には「七十五年　一條生鐵　大地粉碎　虚空迸裂」という言葉があり、彼の深い思想と信念を感じさせます。著作として『明極和尚語録』があり、懶牛希融や草堂得芳といった門弟に法脈が受け継がれ、明極派あるいは燄慧派として知られるようになりました。

彼の教えは、南北朝時代における日本の禅宗の発展に大きな影響を与え、後の時代にもその足跡が残るのです。

もう一度検索