明治大学体育会競走部

明治大学体育会競走部（めいじだいがくたいいくかいきょうそうぶ）は、明治大学の体育会に所属する陸上競技クラブです。1907年に創部され、日本の大学における陸上競技部の中でも特に古い歴史を有しています。

箱根駅伝のルーツ校として

当部は、東京箱根間往復大学駅伝競走（通称：箱根駅伝）の創設に深く関わった「ルーツ校」の一つとして知られています。1919年、当時の部員であった山口六郎次氏や沢田英一氏らが、東京高等師範学校（現：筑波大学）の金栗四三氏らとの交流を通じて、長距離駅伝のアイデアを着想したことが、同大会誕生の契機となりました。彼らの尽力により、1920年には箱根駅伝の原型となる「四大校駅伝競走」が開催され、以降、毎年開催される箱根駅伝には第一回大会以来継続して参加。黎明期からの参加校として、「箱根駅伝オリジナル４」とも称されています。

箱根駅伝での戦績は、2023年までに出場64回、総合優勝7回を数えます。特に戦後初開催の第23回大会とその2年後の第25回大会で総合優勝を果たすなど、古豪としての存在感を示してきました。

練習拠点と施設

主要な練習拠点は、東京都世田谷区にある八幡山グラウンドです。ここには全天候型の400mトラックが整備されており、質の高いトレーニングが可能です。グラウンド以外にも、近隣の駒沢公園や砧公園、多摩川河川敷などを活用した練習も行われています。八幡山グラウンドは、東京近郊の実業団チームが利用することもあり、他のトップレベルの選手との交流の機会も生まれています。

さらに、2023年には八幡山グラウンドに隣接する形で、トレーニング施設が充実した新たな寮が新設されました。サッカー部と共用で利用されており、学生のレジデンシャル・エデュケーション（寮生活を通じた人間教育）も考慮された、より良い競技環境が整備されています。

大学スポーツの新たな挑戦

大学スポーツのあり方を模索する一環として、2022年には「一般社団法人明大アスレチックマネジメント」を設立しました。この法人は、陸上競技・スポーツ界、地域社会への貢献を目指すとともに、部活動の運営基盤強化、指導スタッフの生活安定、学生の経済的負担軽減などを図ることを目的としています。法人化により、ユニフォームスポンサーや広告出稿、ファンクラブ運営など、様々なパートナーとの連携を通じた多角的な支援体制を構築しています。運営には学内関係者に加え、女子マラソンランナーの谷川真理氏といった外部有識者も参画しています。

近年の戦績と復活への道のり

戦前から1960年代にかけては箱根駅伝の常連校でしたが、1991年の第67回大会を最後に本選出場から遠ざかるなど、低迷期を経験しました。しかし、2001年に日本大学OBの西弘美氏をコーチとして招聘して以降、チームは着実に力をつけ、2005年の第81回大会で14年ぶりの本選出場を果たしました。

その後、石川卓哉氏や鎧坂哲哉氏らを擁した2009年（第85回大会）では8位に入り、43年ぶりにシード権を獲得。2012年（第88回大会）では総合3位と、49年ぶりに表彰台に上る快挙を達成しました。大六野秀畝氏や有村優樹氏、文元慧氏らが活躍した2015年（第91回大会）では、64年ぶりの往路2位となるなど、「黄金時代」を築きました。

しかし、翌年の第92回大会ではシード権を失い、続く第93回大会では過去最低タイの総合18位に沈み、第94回大会では10年ぶりに予選会で敗退するなど、再び苦しい時期も経験しました。2018年からは山本佑樹氏が駅伝監督に就任し、チームの立て直しに着手。2020年（第96回大会）では、阿部弘輝氏が7区で区間新記録を樹立する活躍もあり、総合6位で5年ぶりにシード権を獲得しました。

将来への展望：紫紺の襷プロジェクト

明治大学の創立150周年を迎える2031年度（2032年1月）に、箱根駅伝での総合優勝を目指す「紫紺の襷プロジェクト～Mの輝きを再び～」が2025年1月に始動しました。これは7年間にわたる長期的な強化プロジェクトであり、大学を挙げて再び箱根路の頂点を目指す強い意志を示しています。

主な出身者

当部からは、長距離、短距離、跳躍、投擲、競歩など、各分野で多くの優れた選手や指導者、各界の著名人を輩出しています。箱根駅伝創設に関わった山口六郎次氏や沢田英一氏をはじめ、ベルリンオリンピック男子マラソン銅メダルの南昇竜氏、グリコのパッケージモデルとなった谷三三五氏、日本記録保持者であり五輪代表の高山峻野氏（110mハードル）、競歩でオリンピック代表となった園原健弘氏、古賀友太氏、濱西諒氏など、その功績は多岐にわたります。

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