昭王 (魏)

昭王の生涯と治世

昭王（しょうおう）は、中国戦国時代における魏の君主であり、紀元前296年から紀元前277年までの在位中に幾度も激しい戦闘を経験しました。彼の本名は遫（ちょく）であり、魏の王家に生まれた襄王の子として栄光と重責を背負っていました。

襄王の死と即位

昭王の治世は、父である襄王の死去に始まります。襄王23年（紀元前296年）、彼が薨去すると、昭王は王位を継承しました。即位早々、彼は新たな現実、すなわち周囲の国々との不安定な関係に直面することになります。

秦との戦いとその影響

昭王元年（紀元前295年）、彼の治世初の大きな試練がやってきました。秦の司馬錯の軍が襄城を攻撃し、城は陥落しました。この出来事は、昭王にとって非常に厳しいスタートとなりました。
その後、昭王2年（紀元前294年）には、秦との解城での戦いが行われましたが、再び敗北を喫しました。そして、昭王3年（紀元前293年）には、公孫喜の指揮のもと、韓や周と連携して秦への反撃を試みましたが、秦の勇将・白起に伊闕での決戦で敗れる結果となり、さらなる痛手を被ります。

著しい損失を被った昭王の政権は、この後も秦との抗争に巻き込まれ続けます。昭王6年（紀元前290年）においては、秦に対して河東の400里四方の土地を割譲せざるを得ず、これは彼の権力基盤の一部を失うことを意味しました。

さらに続く戦乱

さらに昭王7年（紀元前289年）には、秦の攻撃を受け大小61の城を失陥し、昭王は徐々に苦境に立たされました。昭王9年（紀元前287年）には、新垣と曲陽の城が秦に攻撃されて陥落しました。彼の治世下で、魏は敗北の連続を経験し、国の規模や影響力は次第に縮小していきました。

和平の模索と新たな戦局

昭王10年（紀元前286年）には、再度の秦からの攻撃があり、昭王は安邑を割譲することになりました。この講和は、一時的ではありますが、彼にとって重要な決断であり、魏の人々を安邑に戻すことができました。しかし、この時期、周囲の情勢は依然として不安定でした。

昭王12年（紀元前284年）、彼は燕・秦・趙・韓とともに斉に対抗し、済水の西で斉軍を撃破する勝利を収めました。この戦いの後、斉の湣王は首都臨淄を捨て、逃げ出す事態にまで発展しました。この時、昭王は秦の昭襄王とも会合し、外交的な手法も試みました。

最期を迎える

しかし、昭王治世の終わりも近づいてきました。昭王13年（紀元前283年）には、再び秦軍に安城を攻め落とされ、最終的には秦軍が大梁に到達するも撤退することとなりました。彼の在位は19年に及び、昭王は紀元前277年にその生涯を閉じました。

昭王の統治は数多くの戦争と指導力の試練に満ちたものであり、その後の魏の歴史においても重要な位置を占めています。彼の治世は、激動の戦国時代における王の役割を象徴するものでもあったと言えるでしょう。

参考文献

『史記』魏世家

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