時間の翼

ZARD アルバム『時間の翼』解説

ZARDの9枚目のオリジナルアルバム『時間の翼』は、2001年にリリースされました。本作は、デビュー10周年を記念した作品であり、ZARDの音楽性の幅広さを堪能できる内容となっています。

リリースと特徴

『時間の翼』は、前作『TODAY IS ANOTHER DAY』以降の流れを汲みつつも、オリジナルアルバム初出の楽曲が少ないという特徴があります。表題曲である「時間の翼」は、サビの部分しか完成していなかったというエピソードも。1999年4月発売のシングル「MIND GAMES」は、ベストアルバムに収録されたため、本作には収録されていません。

アルバム発売当初、ノンタイアップ曲は「hero」のみでしたが、同年12月に恋愛シミュレーションゲーム『ときめきメモリアル3 〜約束のあの場所で〜』のエンディング曲に起用され、2002年にはサウンドトラックに原曲アレンジが収録されました。また、10周年記念として「揺れる想い」と「負けないで」のリミックスバージョンも収録されており、これらの楽曲の演奏時間が長いため、収録曲数は前作より少ないものの、総収録時間はZARDのオリジナルアルバムの中で最長となっています。

リアレンジ再発売

本作は、ZARDのアルバムの中で唯一廃盤となっていましたが、2021年のデビュー30周年を記念して、全スタジオアルバムのリマスター再発時に、リアレンジを施した「時間の翼〜30th Anniversary〜」として再リリースされました。リアレンジは長戸大幸がプロデュースし、全曲が鶴澤夢人によって編曲されています。しかし、10周年記念で収録されたリミックスバージョンは収録されていません。

オリジナルバージョンは、主要音楽配信サイトやサブスクリプションサービスでは配信されておらず、リアレンジ盤のみが配信されています。そのため、「promised you ~with P-edition~」や「窓の外はモノクローム」などのオリジナル音源は現在入手困難な状態です。

チャート成績

『時間の翼』は、ZARDのオリジナルアルバムとして、最後のオリコンチャート1位を獲得した作品です。

収録曲解説

1. Get U're Dream
- 32ndシングルの表題曲で、アルバム唯一の葉山たけし編曲です。「駆け抜けた夏」をテーマにした詞が特徴です。
2. この涙星になれ
- 31stシングルの表題曲で、このアルバムのみに収録されています。
3. promised you 〜with P-edition〜
- 33rdシングルの表題曲で、イントロに小野塚晃のピアノが追加されたアルバムバージョンです。リアレンジ盤では副題が外されています。
4. 痛いくらい君があふれているよ
- 30thシングルの表題曲で、R&Bやヒップホップの要素を取り入れた、ZARDとしては珍しい楽曲です。このアルバムのみに収録されています。
5. 窓の外はモノクローム
- 日本テレビ系「週刊ストーリーランド」のエンディングテーマとして使用されました。ビデオクリップでは、坂井泉水がシドニーの街を歩く様子が描かれています。
6. お・も・ひ・で
- 31stシングル「この涙星になれ」のカップリング曲です。
7. 明日もし君が壊れても
- WANDSに提供した楽曲のセルフカバーです。ベストアルバムにもリアレンジされて収録されました。
8. 世界はきっと未来の中〜another style 21〜
- 29thシングルの表題曲で、ドラムなどのミックスが変更されたアルバムバージョンです。リアレンジ盤では副題が外されています。
9. hero
- 歌詞中の二人の結婚を前提に書かれた、ウエディングソングとしても人気のある楽曲です。ベストアルバムにもリアレンジされて収録されました。
10. 揺れる想い (Gomi's New York Remix)
- 8thシングルのリミックスバージョンで、10分を超える長い楽曲です。リアレンジ盤には未収録です。
11. 負けないで (Gomi's 10th Anniversary Special Mix)
- 6thシングルのリミックスバージョンで、8分ほどの長さです。リアレンジ盤には未収録です。
12. 時間の翼
- 今作の表題曲で、NTT西日本「フレッツISDN」のCMソングです。サビ以降の部分しか完成しておらず、演奏時間も短いですが、この曲の完成版は別のアルバムに収録されています。

参加ミュージシャン

坂井泉水を中心に、多くのゲストミュージシャンが参加しています。大野愛果、大田紳一郎、マイケル・アフリックなど、ZARDの楽曲制作に欠かせないメンバーに加え、小野塚晃、Gomiなど、多彩なミュージシャンが本作を彩っています。

まとめ

『時間の翼』は、ZARDの音楽性の多様性と進化を示す重要なアルバムです。10周年を記念したリミックスや、後にタイアップされた楽曲など、聴きどころ満載です。オリジナル盤は廃盤となっていますが、リアレンジ盤で新たな魅力を発見できるでしょう。

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