智蘊

智蘊（蜷川親当）：室町時代の幕府官僚・連歌師

智蘊（ちうん）は、生年不詳ながら文安5年（1448年）に没した室町時代中期の人物で、幕府の官僚および連歌師として名を残しました。一般には俗名である蜷川親当（にながわ ちかまさ）の名で知られ、通称は新右衛門。法名として五峰と称し、智蘊は雅号です。室町幕府の政所代を世襲した蜷川氏の出身であり、蜷川親俊の次男として生まれました。

生涯

智蘊は応安年間（1370年代前半）頃まで越中国太田庄に拠点を置いていました。足利義教の政所公役を務めましたが、義教の死後に出家し、智蘊と号しました。和歌を正徹に学び、正徹の『正徹物語』下巻に収録されている「清巌茶話」は、智蘊の聞書きが元になっているとされています。

連歌においては、永享5年（1433年）の「永享五年北野社一日一万句連歌」への参加を皮切りに、数多くの連歌会に参画しました。その功績から、宗砌と共に連歌中興の祖と称えられています。彼の連歌作品は『親当句集』にまとめられている他、『竹林抄』や『新撰菟玖波集』にも収録されています。また、宗祇によって選ばれた連歌七賢の一人にも数えられています。

智蘊と一休宗純との親交は、子の親元が記した『親元日記』に詳細に記録されています。この親交が広く知られるようになり、アニメ『一休さん』に登場する蜷川新右ェ門のモデルとなりました。ただし、実際には一休と交流があったのは出家後の晩年であったとされています。

墓所は宮道氏の京都真如堂（京都市左京区浄土寺真如町）にあり、蜷川氏の菩提寺である最勝寺（富山県富山市蜷川）には墓碑が建立されています。

関連人物

武蔵: 格闘家。法学者である蜷川新の曾孫であり、蜷川親当の末裔にあたります。
アニメ『一休さん』蜷川新右ェ門: 声優は野田圭一が担当しました。
『オトナの一休さん』蜷川新右衛門: 声優は山崎樹範が担当しました。

外部リンク

蜷川氏系譜
* 日本の苗字7000傑 姓氏類別大観 物部氏【1】

もう一度検索