曽呂村

曽呂村（そろむら）



曽呂村は、かつて千葉県安房郡（長狭郡）に存在した村で、現在の鴨川市の南部に位置しています。1889年（明治22年）の町村制施行により、周辺の村々が合併して誕生しましたが、昭和の大合併により1955年（昭和30年）に廃止されました。

地理



曽呂村は、嶺岡山地の南麓に位置し、曽呂川に沿って東西に街道が通っていました。現在の鴨川市を区分する際には、「江見地区」の一部として扱われますが、町村制施行当時の区分では「曽呂地区」とされていました。この地区には、畑、西、東、上、仲町、代、二子、宮といった大字が含まれています。

1926年（大正15年）時点では、北に田原村、主基村、吉尾村、西に大山村、丸村、北三原村、南に太海村、和田村、江見村と接していました。村内は宮、二、代、仲、上、畑、東、西の8つの区に分かれていました。

歴史



前近代



『和名類聚抄』に記載される長狭郡日置郷は、二子に「比岐」という字名が残ることから、この地であるという説があります。戦国時代には、里見氏によって嶺岡山地周辺に嶺岡牧が開かれました。江戸時代初期に里見氏が改易されると、この地は江戸幕府の管轄となり、牧を管理する八丁陣屋が置かれました。曽呂村の北部は、嶺岡東上牧・嶺岡東下牧と呼ばれていました。

近代



町村制以前


1874年（明治7年）に芝尾村が代野村に編入されました。1878年（明治11年）の郡区町村編制法施行により、複数の村が連合し、1884年（明治17年）には、宮野下村を除く7つの村が連合して、上野村に戸長役場を置きました。宮野下村は別の連合に加わりました。

町村制以後


1889年（明治22年）の町村制施行により、星ヶ畑村、東野尻村、西野尻村、上野村、仲居村、代野村、二子村、宮野下村、嶺岡東牧が合併し、曽呂村が成立しました。村の名前は、この地域が古くは曽呂郷と呼ばれていたことに由来します。

曽呂村には水田家という旧家があり、その住宅（登録有形文化財）が現存しています。明治時代には、当主の水田竹蔵が村長を務め、ホルスタイン種牡牛を導入したとされています。また、竹蔵の子である信太郎も村長を務め、村の小学校統合を推進しました。さらに、信太郎の子である水田三喜男は、第二次世界大戦後の高度経済成長期に経済閣僚として活躍しました。

1955年（昭和30年）、昭和の大合併により、曽呂村は江見町、太海村と合併し、新たな江見町の一部となりました。

行政区画・自治体沿革




経済



1888年（明治21年）の記録によれば、住民は主に農業で生計を立てていました。1926年（大正15年）の『安房郡誌』では、農業が主な産業で、畜産、薪炭・莚縄製造が副業として挙げられています。

特に、嶺岡牧周辺は日本の酪農史において重要な役割を果たした地域であり、曽呂村でも酪農が盛んでした。

教育



曽呂小学校



1909年（明治42年）、曽呂村内にあった4つの尋常小学校が統合され、曽呂尋常小学校となりました。遠隔地の低学年児童のために分教場が残されました。その後、高等科を設置し、曽呂尋常高等小学校となりました。鴨川市の一部となってからは鴨川市立曽呂小学校となりましたが、2015年3月に閉校しました。

統合前の学校の一つである西尋常小学校は、1874年（明治7年）に建てられ、その後「曽呂尋常小学校分教場」として利用されました。1967年（昭和42年）に廃校されてからは荒廃が進んでいましたが、地元住民や関係者、学校法人城西大学関係者らが保存活動に取り組んでいます。

名所・旧跡・祭事



  • - 峯岡東牧旧址

人物




脚注



注釈



出典



関連項目




外部リンク



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