嶺岡山地

嶺岡山地（みねおかさんち）

嶺岡山地は、千葉県南部の房総半島に位置する房総丘陵の一部で、加茂川以南に広がる山々の総称です。嶺岡愛宕山や嶺岡浅間などが含まれ、県立嶺岡山系自然公園に指定されています。一般的に「嶺岡山」と呼ばれるのは、嶺岡愛宕山を中心とした連峰を指し、特定の山の名前ではありません。

概要

嶺岡山地は、行政区域としては鴨川市、南房総市、鋸南町の一部にまたがっています。この地域は、1935年に県立自然公園に指定され、1964年には自然公園法に基づく指定を受け、豊かな自然が保護されています。

地勢

地質学的に見ると、嶺岡山地は中生代白亜紀の地層に、新生代第三紀の地層が加わった複雑な構造をしています。この地層は、かつてアジア大陸の東端の海底であった場所に、太平洋プレートが沈み込む際に取り込まれた付加帯の一部です。そのため、枕状溶岩や蛇紋岩など、海洋プレートに由来する岩石が観察できます。

多様な火成岩や変成岩が見られ、これらの岩石はかつて海底を形成していたものが、断層活動によって地表に現れたと考えられています。地質学的には、古第三紀嶺岡層群に属し、地塁山脈（断層山脈）として分類されます。地盤が脆弱なため、山崩れや地滑りが多発する地域としても知られており、現在も対策工事が進められています。

地元の方言では、山崩れを「びゃく」、地滑りを「ねえっぴー」と呼んでいたそうですが、現在ではあまり使われていません。

嶺岡浅間

嶺岡浅間は、嶺岡山系を代表する山の一つですが、高度経済成長期に山砂採取のため山頂と北面が大きく削られ、かつての姿を失っています。標高も360.8mから334.8mに低下しました。しかし、山頂には浅間神社があり、立派な鳥居と石宮が残されています。山頂からは、長狭平野や房総分水嶺の山々を一望できます。

嶺岡林道（林道嶺岡中央2号線）が山頂付近まで通じており、車で行くことも可能です。また、白滝不動尊からの登山道は、昔ながらの静かな雰囲気を楽しめます。

嶺岡牧場

嶺岡牧場は、律令制の頃から馬の放牧地として利用されていました。戦国時代には里見氏がこれを再興し、江戸時代には幕府が天領として「嶺岡五牧」を設けました。特に、徳川吉宗の命でインドから輸入された白牛が飼育されたことから、日本の酪農発祥の地としても知られています。

明治時代になると、政府は殖産興業の一環として嶺岡牧場を設立しましたが、経営が難航したため民間に払い下げられました。しかし、地元住民との入会権を巡る紛争が頻発し、再官営化と再払い下げが繰り返されました。最終的に、明治44年（1911年）に千葉県が経営を引き継ぎ、畜産研究施設（後に千葉県嶺岡乳牛試験場）となりました。この施設は「酪農のさと」の愛称で親しまれています。

周辺施設

嶺岡山地周辺には、以下のような施設があります。

千葉競輪場サテライト鴨川（競輪場）
昭和院
白滝不動尊
白絹の滝
登山道
石の祠（石の天狗面）
嶺岡浅間の登り口
嶺岡浅間神社
嶺岡林道
パラグライダーテイクオフポイント
休憩舎（トイレ有）

交通

公共交通機関

JR安房鴨川駅から鴨川日東バスで「主基駅」下車
JR保田駅から鴨川日東バスで「主基駅」下車
JR木更津駅から鴨川日東バスで「主基駅」下車
JR安房鴨川駅西口から鴨川市コミュニティバスで「風早バス停」下車

自動車

東京湾アクアライン・館山自動車道「鋸南保田IC」から長狭街道（県道34号鴨川保田線）を経由し、「主基駅」バス停付近から南下、「サテライト鴨川手前」を右折
「白滝不動尊参道下」に駐車場があります。
嶺岡林道に駐車可能です。

脚注

参考文献

千葉大百科事典（千葉日報社、1982年）

関連項目

航空自衛隊中部航空警戒管制団第44警戒隊（愛宕山山頂に峯岡山分屯基地がある）

外部リンク

* 嶺岡乳牛試験場

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