月琴

月琴（げっきん）の概要と魅力

月琴、または月弦（yueqin）は、中国の伝統楽器であり、その音色は魅力的で、歴史的な背景を持っています。月琴はリュート属の弦楽器で、共鳴胴は満月のような円形をしています。首の部分は短く、弦の本数は時代や地域によって異なりますが、一般的には2本から4本の弦が張られています。4弦のものでは、複弦（コース）を2セット用いています。

弦は初めは絹糸で作られていましたが、現在ではナイロンや鋼糸が主流となり、多様な音色が楽しめるようになっています。音を出す際は、親指以外の指で押さえた弦をピックで弾きますが、共鳴孔はなく、演奏時の姿勢は独特です。一般には、椅子に座り、月琴を太ももの上に置き、少し体から離して演奏します。また、一部の楽器には「鳴り胴」と呼ばれる mechanism（機構）があり、これによって振ったり叩いたりすることで音を鳴らすことも可能です。

歴史的背景

月琴の起源は、阮咸琵琶などの楽器にさかのぼるとされていますが、正確なルーツは不明です。月琴は多くの文化に影響を受けており、特に日本や朝鮮、ベトナムなどにも広まりました。日本では、明清楽などの演奏に用いられることがありますが、明楽の「月琴」は棹の長い阮咸に似ており、清楽の「月琴」とはまったく異なる楽器です。これにより、日本では清楽の月琴が一般的に知られるようになりました。

江戸時代から明治、大正にかけて月琴は流行し、演歌師や法界屋などによって演奏されました。また、坂本龍馬の妻であるお龍の描写が『竜馬がゆく』に見られる等、文学にも登場することでその知名度が上がりました。しかし、日清戦争の際に「敵性楽器」と見なされた影響で一時は使用が減少しました。

20世紀後半には、青年層の間でのブームが生まれ、漫画などを通じて再評価されることとなりましたが、正統的な伝承は失われつつあります。

調律の方法

月琴の調律は多様で、特に清楽の月琴においては西洋音楽のマンドリンに似た5度調弦が基本です。たとえば、低音の弦はDに、高音の弦はAに調整されます。また、この楽器は音楽の種類によって異なる音高さに調律されることが一般的です。音楽のスタイルや演奏者の好みによって、調律のスタイルは変わることがあります。

現代の月琴

現在、日本で流通している月琴には、厳密に分ければ二つの種類があります。一つは、歴史的な清楽の月琴、もう一つは中国製の現行月琴です。これらは名称は同じでも、材質や響き、さらには構造が大きく異なるため、実際には別の楽器と考えられます。清楽の月琴は非常に繊細で華奢な作りをしており、音量は控えめながらも深い響きを持っています。一方、中国の現行月琴は、より頑丈な構造を持ち、強い音量が求められています。

音楽というコミュニケーションの一形態として、月琴は文化的な価値を持っており、今後もその魅力を引き継いでいくことが求められる楽器です。

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