有声声門摩擦音

有声声門摩擦音（ゆうせいせいもんまさつおん）について

有声声門摩擦音は、子音の中でも特殊な音であり、国際音声字母では[ɦ]と表記されます。これは、息漏れ声やささやき声といった特徴を持つ音であり、通常の有声音とは異なる発声メカニズムを持っています。

発音の特徴

気流の発生

有声声門摩擦音は、肺から吐き出される呼気を基に発音されます。この点は他の多くの子音と同様です。

発声

この音の最大の特徴は、声帯の振動が不完全である点です。通常の有声音のように声帯がしっかりと閉じたり開いたりするのではなく、声門にわずかな隙間を残した状態で振動します。この状態は、私たちがつぶやき声を発する際に近いとされています。

調音

調音位置は、声帯そのものである声門です。ここで、声帯と声帯の間で摩擦が生じます。しかし、この摩擦は通常の摩擦音とは異なり、声帯の振動によって生じるものです。声門の隙間を狭めることで、声を作る役割も果たしますが、基本的には声門が開いた状態での摩擦音と言えます。

口蓋帆の位置

有声声門摩擦音を発音する際、口蓋帆は持ち上げられ、鼻腔への空気の通り道は閉じられます。これは、口音としての特徴です。

言語例

有声声門摩擦音[ɦ]は、多くの場合、無声声門摩擦音 /h/ の異音として現れます。つまり、同じ音素の異なる発音バリエーションとして、言語や話者の間で現れるということです。

以下にいくつかの言語における例を挙げます。

ウクライナ語: гора [ɦɔˈra]
英語: behind [bɪˈɦaɪnd]
オランダ語: haat [ɦaːt]
上海語: 前後 [ɕɦiɦɤ] (語頭で他の無声子音と組み合わせて発音される例もあります)
ズールー語: ihhashi [iːˈɦaːʃi]
スロバキア語: hora [ˈɦɔra]
チェコ語: hora [ˈɦora]
朝鮮語: 語中のㅎ/h/に現れることがあります
フィンランド語: raha [rɑɦɑ]
ベラルーシ語: гара [ɦaˈra]

これらの例からわかるように、有声声門摩擦音は、さまざまな言語で、異なる文字や音素に対応して現れます。

まとめ

有声声門摩擦音は、声帯の不完全な振動を伴う特殊な子音であり、息漏れ声やささやき声のように聞こえます。調音位置は声門であり、声帯間の摩擦によって発音されます。多くの言語で無声声門摩擦音 /h/ の異音として現れ、発音のバリエーションを豊かにしています。この音の理解は、音声学や言語学において、より深い音声の理解に繋がります。

もう一度検索