有賀長雄

有賀長雄（1860年-1921年）

有賀長雄（ありが ながお）は、日本の国際法及び社会学の専門家であり、1860年11月13日に摂津国大坂で生まれました。彼は法学博士および文学博士の学位を持ち、日本人初のノーベル平和賞候補に名を連ねたことでも知られています。生涯を通じて多くの業績を残し、法学の発展に貢献しました。

経歴

有賀は、大阪英語学校や開成学校を経て、1882年に東京大学文学部哲学科を卒業しました。在学中には成立学舎で教鞭をとり、学資を得る一方で、法学の道を歩み始めます。卒業後は、東京大学の御用掛や文学部准助教授、さらに元老院書記官としても活動し、その後、留学のためにヨーロッパへ渡ります。ドイツのベルリン大学及びオーストリアのウィーン大学で国法学を学び、1888年に帰国しました。

帰国後、有賀は枢密院書記官を務めつつ内閣に勤務し、著述活動も行いました。1892年からは農商務省特許局長に就任し、日清戦争や日露戦争にも法律顧問として参加、ハーグ平和会議には日本代表として出席するなど、国際法における影響力を強めていきます。さらに後の年には、陸軍大学校や海軍大学校、東京帝国大学などで憲法や国際法を教えました。

1903年には、皇室制度調査局御用掛に任命され、皇室典範の補完を進める一方で、政治と軍部の関係についても考察しました。晩年には大隈重信の推薦を受けて中華民国の袁世凱の法律顧問となり、彼の帝政運動を擁護しましたが、対華21カ条要求に対しては反対の立場をとり、貴族院や大学からの圧力を受けることとなります。

晩年と死去

大正元年には恩賜賞を受賞し、その後も精力的に活動を続けました。しかし、大正10年に脳溢血で60歳という若さでこの世を去りました。彼の墓は東京都港区の青山霊園にあります。

著作

有賀の著作には、以下のようなものがあります：

• - 『社会学』（1883年 - 1884年）：日本初の体系的な社会学的著作とされています。
• - 『国家学』（1889年）
• - 『須多因氏講義』（1889年）：海江田信義の編集によるもので、法学者ローレンツ・フォン・シュタインの講義を通訳したものです。
• - 『行政学』（1890年）
• - 『日本古代法釈義』（1893年）
• - 『日清戦役国際法論』（1896年）：フランスの国際法学者ポール・フォーシーユによる序文付き。
• - 『La Croix-Rouge en Extrême Orient』（1900年）：フランス語の著作。
• - 『日露陸戦国際法論』（1911年）

栄典

有賀は、いくつかの位階と勲章を授与されています。1886年には正七位、1891年には従六位、1921年には従四位の位階を得ました。また、1895年に勲四等旭日小綬章、1899年には勲三等瑞宝章、1921年には勲二等瑞宝章が与えられました。

一族

有賀長雄は、父・有賀長隣（高踏派歌人）や弟・有賀長文（東京帝国大学法科卒業後、三井合名常務理事を歴任）、妹・国子（京都帝国大学初代学長坪井次郎の妻）がいる家系に生まれ、多くの著名な人物を輩出しています。

まとめ

有賀長雄は、その業績を通じて日本の法学界に多大な影響を与えた人物です。彼の国際法に関する研究や社会学的著作は、現在も重要な文献として評価されています。

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