服部蘇門

服部蘇門（はっとり そもん）

服部蘇門（1724年 - 1769年）は、江戸時代中期の学者として知られています。

生涯

伊賀国出身の祖先を持ち、祖父の代に京都へ移住。父は西陣織の職人でした。10歳から四書六経を学びましたが、1年後には家業に従事。しかし、読書への情熱は持ち続けました。

体調を崩したことをきっかけに、家業を親族に任せ、学問に専念することを決意。当初は医学を志しましたが、後に儒教、道教、仏教の三教を修めました。そして、京都市内の上長者町通千本東入ルに私塾「観自在堂」を開き、後進の指導に当たりました。

晩年は持病が悪化し、歩行が困難になるにつれて仏教への傾倒を深め、1769年に死去。京都市内の善福寺に葬られましたが、現在墓石は残っていません。

号

宝暦年間までは天瑞、字を玄符と名乗っていましたが、明和以降は天游、字を伯和と改めました。「蘇門」の号は、晋代の隠者・孫登が隠棲した蘇門山に由来。「嘯」の字を含む号は、阮籍が蘇門山で孫登の長嘯を聞いたという故事にちなんでいます。

著書と交友関係

著書には、『赤倮倮』、『燃犀録』、『蘇門居士法語』、『明朝護法唫賛』、『碧巌録方語解』、『蘇門文鈔』などがあります。未刊の著作として『嘯台余響』も存在します。

良野華陰、芥川丹邱に兄事し、武田梅竜、木村蓬莱等と交友関係がありました。門下には蘆木文炳、永田観鵞らがいます。

思想

富永仲基の『出定後語』に影響を受け、従来の教相判釈の矛盾点を指摘。しかし、仲基とは異なり、仏教思想自体には帰依し続けました。また、友人である清田儋叟が注釈した金聖嘆『水滸伝』批評にも影響を受け、仏教経典の内容を説法のための寓話であると捉えつつも、文章における寓話の有効性を認め、読者の興味を引く合理的な文章論を展開しました。

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