朝日新町

概要

朝日新町（あさひしんまち）は、香川県高松市の中心部からやや北東に離れた場所に位置する町丁です。その全域は、戦後の高度経済成長期に行われた広大な海面埋め立て事業によって造成された人工島とも言える地域です。郵便番号は760-0064が割り当てられており、住居表示に関する法律に基づき、すべての区域で住居表示が実施されています。

この町は、工業地帯としての性格が非常に強く、居住者は存在しません。過去の国勢調査（2010年）においても、常住人口はゼロと記録されており、夜間人口が皆無であるという特殊な性質を持っています。

地理と区域

高松市の中心部、具体的には高松市役所からおよそ2.6キロメートル北東に位置しています。町の境界線は明確で、南側は臨港道路F地区1号線によって隣接する朝日町と区切られており、その他の三方はすべて瀬戸内海に面しています。総面積は約40万平方メートルに及びます。

この地域は、南に隣接する朝日町と共に大規模な臨海工業地帯を形成していますが、土地の利用形態には違いが見られます。朝日町に大工場が立地しているのに対し、朝日新町の区域は比較的小規模な区画に分けられ、主に卸売業者の集積地である卸売団地や、物流の拠点となる倉庫団地として利用されています。

また、朝日新町の西側には国際物流の要衝である高松港コンテナターミナルが設けられており、北部や東部には大型船が接岸可能な水深10メートル、および水深7.5メートルの公共岸壁が整備されています。これらの港湾施設のうち、2004年以降に海上における人命の安全のための国際条約（通称ソーラス条約）に基づき、一部区域はテロ対策などの保安上の理由からフェンスで囲まれ、関係者以外の一般人の立ち入りが厳しく制限されています。そのため、朝日新町の大部分では、文字通り海面に近づくことができない状況にあります。

港湾と別称「朝日町F地区」

朝日新町は単なる工業地帯であるだけでなく、香川県高松港管理事務所が管理する高松港の重要な付帯施設の一部としての顔も持っています。この地域内の道路の多くは、通常の県道や市道ではなく、港湾の機能維持のために管理される臨港道路です。

高松港管理事務所は、朝日新町の全域と朝日町の大部分を一体的に「朝日地区」と呼び、その内部をAからGまでのアルファベットで区分しています。朝日新町の区域は、この区分における「F地区」に該当します。このため、特に港湾関係者の間では、正式な町名である「朝日新町」よりも「朝日町F地区」という名称で呼ばれることの方が一般的です。

「朝日町F地区」という呼称は、かつて（2012年まで）さぬき高松まつりの花火大会の観覧場所となっていたことや、過去には夜間に暴走族が集まる場所として知られていたことなどから、港湾関係者だけでなく一般市民の間でもある程度認知されており、地名的な意味合いで使われることもあります。なお、朝日新町の町域と、港湾管理上のF地区の範囲は全く同一です。

歴史と主な施設

朝日新町の歴史は比較的浅く、1975年（昭和50年）に、隣接する朝日町四丁目の北側に広がる海面を埋め立てて新たな土地を造成したことに始まります。この造成された公有水面埋立地に、町として新設されました。

町内には、港湾関連の国の機関や、地域経済を支える企業の拠点などが多数立地しています。代表的な施設としては、高松港湾合同庁舎、高松海上保安部、神戸税関坂出税関支署高松出張所、植物防疫所坂出支所高松出張所といった官公庁施設のほか、高松卸センター、宮脇書店本社・卸センター、四国三菱電機販売本社、タカラスタンダード四国支店、森永製菓四国支店などの企業拠点、さらには高松市朝日新町学校給食センターなども稼働しています。また、町内には高松市朝日新町西緑地、高松市朝日新町東緑地といった緑地帯も整備されています。

教育施設に関しては、町内に居住者がいないため学校は存在しませんが、公立の小学校・中学校の校区としては、全域が高松第一小学校・中学校（小中一貫校）の通学区域に含まれています。

都市計画法に基づく用途地域としては、全域が準工業地域に指定されており、容積率200パーセント、建ぺい率60パーセントという建物の建築に関する制限が定められています。

朝日新町は、その成り立ち、地理的特徴、機能から、高松市の産業・物流を支える重要な役割を担っている地域と言えます。

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