朝熊神社 (伊勢市)

朝熊神社と朝熊御前神社について

伊勢神宮の内宮に属する朝熊神社（あさくまじんじゃ）とその隣に位置する朝熊御前神社（あさくまみまえじんじゃ）は、三重県伊勢市朝熊町にあります。両社は五十鈴川と朝熊川の合流点近くの丘に鎮座しており、社域は広大で、訪れる人々に神聖な雰囲気を感じさせます。朝熊神社は内宮の第1位の摂社であり、非常に格式ある神社として知られています。

共通事項

両社は、五十鈴川と密接な関係を持ちながら、相互に重要な役割を果たしています。参拝の際は、まず朝熊神社に訪れてから朝熊御前神社に向かうのが正式な順序とされています。社殿は神明造りの板葺であり、朝熊神社が右側、朝熊御前神社が左側にあります。それぞれの神社は南西に向けて建てられていますが、多くの摂社同様、一般の参拝者が直接賽銭を入れるための箱は設置されていません。

朝熊神社の詳細

朝熊神社は、特別な祭儀が執り行われる社であり、大歳神（おおとしのかみ）、苔虫神（こけむしのかみ）、朝熊水神（あさくまのみずのかみ）が祭神として祀られています。これらの神々は五穀と水の守護神とされ、地域の繁栄を見守っています。社名の由来には諸説あり、「朝熊」は「浅く曲がりくねった川」を指していたり、空海が修行中に見た熊に由来するとされています。

朝熊神社の社殿は昔は二重の玉垣に囲まれていました。また、祭祀は内宮の別宮に準じて行われており、特に三節祭では深夜に執り行われる儀式があります。日々の祭りは、月次祭（月に一度）や神嘗祭（秋に収穫を祝う祭り）などが含まれ、地域の重要な行事として続けられてきました。

朝熊御前神社の特徴

朝熊御前神社は内宮の摂社の中で第2位を占めており、その祭神は朝熊御前神（あさくまみまえのかみ）です。寛文3年（1663年）に再興されたこの神社は、初めは隣接する鏡宮神社から独立した形で存在しています。社殿の構造は朝熊神社と同様に神明造りで、規模も同じです。朝熊神社と共に地域の人々に崇敬されています。

歴史

朝熊神社の創設に関しては、倭姫命が大歳神を祀る社を建立したことが始まりとされています。この神社は、927年頃には創建されていたとされ、以降も地元の信仰の中心として存在し続けました。大宮司・河邊精長の努力により1663年に現在の社地で再興され、その際の発掘を通じて古鏡が発見され、新しい社殿に奉納されました。

自然と文化

朝熊神社周辺は、桜の名所としても知られています。西行法師はその美しさを称えた短歌を『続古今和歌集』に残しています。桜の木は、神体とされる大歳神を象徴するものとしても重要視されており、地域の文化に根付いています。

アクセス

公共交通機関を利用する場合、近鉄鳥羽線の朝熊駅から徒歩で約16分、または五十鈴川駅からはバスで朝熊インターまで行き徒歩約4分です。自家用車の場合は、伊勢二見鳥羽ラインの朝熊ICから近く、アクセスも便利です。ぜひこの神社群を訪れて、古の神々に触れてみてはいかがでしょうか。

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