朝香誠彦

朝香誠彦：旧皇族から文化人、社会活動家へ

朝香誠彦氏は、1943年、旧皇族朝香宮家において誕生しました。父は孚彦王、母は藤堂高紹伯爵令嬢の千賀子です。幼少期は皇族としての生活を送りましたが、1947年、祖父である朝香宮鳩彦王の皇籍離脱に伴い、自身も皇籍を離脱しました。

皇族の身分を離れた後、朝香氏は音楽の道に進みます。東京芸術大学音楽学部器楽科（チェロ専攻）を卒業し、イタリアのサンタ・チェチーリア音楽院に留学するなど、音楽家としての研鑽を積みました。帰国後はCBS・ソニーレコード株式会社に入社、クラシック音楽の制作に携わりました。長年にわたる音楽業界での経験は、その後の活動にも大きな影響を与えたと言えるでしょう。

音楽活動と並行して、朝香氏は多様な分野で社会貢献を果たしています。東京国際大学特命教授、日本食文化協会最高顧問、日本チェコ音楽協会名誉顧問など、数多くの要職・名誉職を歴任。これらの活動を通して、文化交流の促進や日本の食文化の継承に貢献しました。また、東京都庭園美術館館長特別顧問、目黒区美術館館長特別顧問、ライシャワー・アカデミー名誉会長などを務め、芸術文化の振興にも尽力しました。

さらに、国際的な視野を持ち、日本国際連合協会監事としての活動にも携わっています。その他、マーシャル方面遺族会名誉会長、ファイブ・ア・デイ協会会長、津カントリー倶楽部名誉理事長、朝光クラブ理事長など、幅広い分野でリーダーシップを発揮してきました。その活動は、地域社会から国際社会にまで及ぶ、まさに多様な貢献と言えるでしょう。

2004年には、韓国の武寧王陵を参拝。日本の皇族関係者による百済王陵参拝としては初の事例となりました。この出来事は、日韓関係における文化交流の新たな一歩を象徴する出来事として注目を集めました。

私生活では、内海貴子氏と結婚し、一男一女をもうけています。2018年には、久伊豆神社の「朝香宮殿下孔雀奉納80年祭記念春季例大祭」に臨席し、シダレザクラの記念植樹を行いました。このシダレザクラは、後に令和改元の際に記念御朱印帳のデザインにも採用されるなど、広く人々に知られるようになりました。

朝香誠彦氏の生涯は、旧皇族という出自、音楽家としてのキャリア、そして多岐にわたる社会活動という、一見すると異なる要素が複雑に絡み合い、調和した稀有な例と言えるでしょう。彼の功績は、単なる肩書きや地位を超え、多様な分野における真摯な取り組みと、国際的な視野を持った貢献として評価されるべきです。彼の活動は、これからの世代にも大きな影響を与え続けるものと期待されます。

系譜

父：孚彦王
母：孚彦王妃千賀子（藤堂高紹伯爵令嬢）
姉：冨久子女王（南部利久伯爵夫人、日清製粉の鈴木克久夫人）
妹：美仍子女王（日新製糖の坂本喜春夫人）
妻：内海貴子（男爵内海勝二の長男内海勝正・成子夫妻長女）
子女：長男・明彦、長女・美貴子

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