朝鮮民主主義人民共和国のインターネット

北朝鮮におけるインターネット事情

朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）のインターネット事情は、世界の他の国々とは異なる特異な状況にあります。かつて北朝鮮はインターネットに接続していない国として知られていましたが、現在では積極的にIT事業を推進し、限られた範囲でインターネットを利用できるようにしています。

国際接続の制約

北朝鮮でのインターネット接続は、政府による情報操作の影響を受けているため、国際的な接続は非常に制限されています。国内には「ネナラ」と呼ばれるポータルサイトが存在しますが、利用者は特定の規制に従わなければなりません。北朝鮮には4本の公式インターネット回線があり、全て中国の国有企業である中国聯合通信が関与しています。しかし、国際社会の制裁により、中国がネット接続を遮断する可能性が指摘された2017年以降、ロシアの通信大手トランステレコムもネットサービスを提供するようになりました。

プロバイダと接続手段

インターネット接続は平壌電話局が管理しており、電話線と光ファイバーケーブルのいずれかを通じて接続が可能です。また、市民は電子図書館と呼ばれる特定の施設でインターネットを利用できますが、事前の許可が必要であり、利用時にはそれを監視する司書が同伴します。このため、利用内容は厳密に制限されており、自由なインターネット利用は難しい状況です。

2010年10月10日には、平壌で行われた軍事パレードの際に海外メディア向けにインターネット回線が設置され注目を集めました。また、韓国企業が進出している開城工業地区では、2013年に南北合意によりインターネットが利用できることが決まりました。近年では、海外向けに北朝鮮の体制を宣伝するYouTubeチャンネルが開設されるなど、新たな動きも見られます。

国内向けイントラネット「光明」

北朝鮮には「光明」と呼ばれる国内向けイントラネットがあります。これはインターネットよりも早くから構築され、労働新聞などのニュースサイト、ショッピングサイト、電子掲示板、チャット、電子図書館、電子メール、ゲームサイト、検索エンジンなどが整備されています。「光明」の回線速度は100Mbpsで、チャイナテレコムと平壌電話局が共同で運営しています。利用者はダイヤルアップ接続と光ケーブル接続の両方を選べるため、一定のインターネット環境が提供されています。

韓国における「親北」サイトの遮断

韓国政府は国家保安法に基づき、北朝鮮に好意的と見なされるサイトへのアクセスを遮断しています。このため、日本にサーバーを持つ多くのサイトは、韓国国内では閲覧できない状況にあります。具体的なサイトとしては、朝鮮中央通信や朝鮮新報、統一学研究所などが挙げられます。これらの措置は、情報の流通をコントロールするための一環とされています。

結論

北朝鮮のインターネット事情は、国際的な接続が制限され、政府の強い情報統制下にあるため、一般市民にとっては非常に厳しいものです。国内向けのイントラネット「光明」が整備されているものの、自由に情報を取得し共有することが困難で、外部との接触も制限されています。今後、どのようにインターネット環境が変化していくのか注目されます。

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