木下毅

木下毅について

木下毅（きのした つよし）は、1936年6月10日生まれの日本の法学者、弁護士です。専門は英米法であり、特に契約法、私法、公法の分野で研究を行っています。山口県下関市出身で、東京大学で法学博士号を取得しました。指導教官は伊藤正己です。

学歴と職歴

1955年3月に栃木県立栃木高等学校を卒業後、1960年3月に東京大学教育学部を卒業しました。その後、法学の道に進み、1971年3月には東京大学大学院法学政治学研究科基礎法学専攻博士課程を修了し、法学博士の学位を取得しました。学位論文は「英米契約法における意志表示論」です。

1973年6月にはハーバード大学法科大学院LL.M.課程を修了しています。

1971年4月に立教大学法学部助教授に就任し、その後、1979年4月に同大学の教授となりました。1975年6月から1977年11月までは、長島・大野法律事務所に出向しています。

1992年9月から1998年9月まで、日米法学会の代表理事（理事長）を務めました。

1993年4月には北海道大学法学部教授に就任し、同年10月から1997年3月まで東京大学法学部の兼任講師も務めています。

1997年4月には中央大学法学部教授に就任し、2007年3月まで在籍しました。また、1999年11月から2002年11月まで日本比較法研究所長を務めています。

2007年6月には第一東京弁護士会に弁護士登録を行い、2008年3月には増田パートナーズ法律事務所のオブ・カウンセルに就任しました。

研究活動と著作

木下毅は、英米法の研究において数々の著作を発表しています。主な単著には、『英米契約法の理論』（東京大学出版会、1977年）、『アメリカ私法』（有斐閣、1988年）、『アメリカ公法』（有斐閣、1993年）、『比較法文化論』（有斐閣、1999年）などがあります。

共著としては、『現代アメリカ憲法』（東京大学出版会、1978年、T.I.Emersonと共著）や、『アメリカ法入門』（日本評論社、1984年、新版・2012年第5版、伊藤正己と共著）があります。

また、ロナルド・ドゥウォーキンの『権利論』の翻訳も行っており、木鐸社から第1巻が1986年、第2巻が2001年に刊行されました（小林公・野坂泰司と共訳）。

盗作問題と懲戒処分

木下毅は、2004年に著作権に関する問題で中央大学から調査を受けました。大木雅夫からの指摘により、『比較法文化論』と『アメリカ法入門・総論』の2冊の著書において、引用元を明示していない箇所が多数発見されました。この問題は、著作権法違反とまでは断定されませんでしたが、学者としての倫理上の問題が指摘され、中央大学から職務停止3ヶ月の懲戒処分を受けました。

人物

木下毅は、英米法研究の第一人者として知られ、多くの法学者や法律家に影響を与えました。その一方で、著作権に関する問題で懲戒処分を受けたことは、法学研究における倫理の重要性を示す事例として記憶されています。

もう一度検索