木原正雄

木原正雄は、1918年1月5日に京都府京都市で生まれ、2008年6月24日に生涯を閉じた日本の経済学者です。京都大学名誉教授の称号を持ち、特にソ連をはじめとする社会主義経済の研究で知られています。

生涯

木原は京都市立第一商業学校でロシア語を学び、立命館大学経済学科に進学しました。1941年に同大学を卒業後、1942年には満州国総務庁高等官試補および満洲建国大学高等官試補に任官されました。1943年から1945年までは民族研究所に勤務し、戦後の1945年に京都帝国大学講師として教鞭を執り始めました。

1946年、京都帝国大学助手に昇進し、1950年には京都大学経済学部助教授となりました。1967年には経済学博士号を取得し、1968年には京都大学教授に昇進しました。1970年から1971年、そして1973年から1974年の二度にわたり経済学部長を務め、1981年に京都大学を定年退官し、名誉教授となりました。

定年退官後は阪南大学教授として教壇に立ち、また、高知女子大学保育短期大学部の初代学長も務めました。さらに、日本学術会議の会員としても活動するなど、教育・研究分野で幅広い活躍を見せました。

研究分野

木原正雄の専門は、社会主義経済であり、特にソ連の経済体制に関する研究で著名です。その研究は理論的かつ実証的な分析に基づき、社会主義経済の構造や問題点を深く掘り下げています。また、社会主義経済の理論的考察に加え、日本の軍事産業や原子力産業など、現代社会の重要なテーマにも関心を寄せ、分析を行っています。

著作

木原正雄は、多数の著作を通じて、自身の研究成果を広く社会に発信しました。

主な著書:
『ソ同盟経済論』（経済学全書）三笠書房 1950
『ソ連邦の社会主義経済』法律文化社 1961
『社会主義経済の理論』有斐閣 1966
『日本の軍事産業』新日本出版社 1994

共編著:
『封建社会の基本法則 ソ同盟歴史学界の論争と成果』山岡亮一共編 有斐閣 1956
『社会主義経済学の生成と発展』大崎平八郎共編著 青木書店 1965
『現代の社会主義』高昇孝共著 青木書店 1969
『現代社会主義経済論』長砂実共編 ミネルヴァ書房 1969
『現代日本と社会主義経済学』長砂実共編 大月書店 1976
『原子力産業界 [新版]』中島篤之助共著 教育社新書 産業界シリーズ 1979
『21世紀への原子力 問われる原子力政策の選択』小野秀生、道下敏則共編 法律文化社 1986
『経済システムの転換 20世紀社会主義の実験』大西広,溝端佐登史共編 世界思想社 1993

翻訳:
『再生産と国民経済バランス論』編, 木原正雄 等訳 有斐閣（京都大学総合経済研究所研究叢書）1956
ア・イ・ペトロフ編『経済統計学教程』大橋隆憲共監修訳 有斐閣 1957-61
『価値と価格の理論 ソビエト経済学界の論争と成果（京都大学総合経済研究所研究叢書）訳編 有斐閣 1958
プレハーノフ『歴史における個人の役割』岩波文庫 1958
* レーニン『経済学評注』大月書店 1974

これらの著作は、社会主義経済の研究における重要な文献として、現在も多くの研究者に参照されています。

功績と影響

木原正雄は、その生涯を通じて社会主義経済の研究に尽力し、その分野の発展に大きく貢献しました。彼の研究は、社会主義経済の理論的解明だけでなく、現実の経済問題に対する深い洞察を示しており、経済学の発展に大きな影響を与えました。また、教育者としても多くの人材を育成し、日本の経済学界に多大な貢献をしました。その業績は、今日においても高く評価されています。

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