大崎平八郎

大崎平八郎は、1919年12月15日に福岡県飯塚市で生まれ、2005年4月5日に膵臓癌のため亡くなった日本の経済学者です。横浜国立大学の名誉教授として、長年にわたり教育と研究に尽力しました。

生涯

大崎は、横浜高等商業学校（現在の横浜国立大学）を卒業後、東京商科大学（現在の一橋大学）に進学しました。しかし、太平洋戦争の影響で1942年9月に同大学を繰り上げ卒業し、入隊。機関砲中隊に配属されましたが、病気のため現役を免除され、満鉄調査部に勤務しました。この戦争経験は、後の彼の研究や思想に大きな影響を与えたと考えられます。

戦後、横浜国立大学経済学部の助教授として教壇に立ち、後に教授に昇進しました。1973年には経済学部長を務め、1985年に横浜国立大学を定年退官し、名誉教授となりました。退官後も、関東学院大学や神奈川大学で教鞭をとり、後進の育成に尽力しました。また、ユーラシア研究所の名誉顧問も務めました。

研究分野と業績

大崎平八郎の研究は、ソ連や社会主義経済に関するものが中心です。著書『ソヴェト農業政策史』や、社会主義経済に関する多くの編著・翻訳を通じて、この分野の知識を深め、日本の経済学界に貢献しました。また、戦中派としての経験から、戦争の悲惨さや平和の尊さを訴える著作も残しました。彼の研究は、単なる学術的な探求に留まらず、社会への深い洞察と問題意識に基づいていたと言えるでしょう。

家族

息子の大崎滋生は音楽学者として桐朋学園大学で教鞭をとっています。

主な著作

大崎平八郎は、数多くの著書や翻訳を手がけました。以下にその一部を挙げます。

著書
『ソヴェト農業政策史』有斐閣、1960
『戦中派からの遺言 戦没者の鎮魂のために』新評論、1992

共編著
『世界の教育』斎藤秋男,渡辺輝一共編著　門脇書店、1955
『社会主義経済学の生成と発展』木原正雄共編著　青木書店、1965
『世界経済論 体制危機の展開過程』久保田順共著　青木書店、1970
『現代社会主義の農業問題』編著　ミネルヴァ書房、1981
『社会主義経済論』編　有斐閣、1986
『ペレストロイカの経済最前線 20人の経済学者がみた』編　毎日新聞社、1990
『混迷のロシア経済最前線 経済学者14人の緊急レポート』編　新評論、1993
『体制転換のロシア』編　新評論、1995

翻訳
『世界教育史』コンスタンチーノフ監修 勝田昌二,浅川文子共訳　青銅社、1954
シャルル・ベートゥレーム『ソヴェト経済の構造』日本評論新社、1954
ジョルジュ・コニオ『ソヴェト案内』大月新書、1955
ペ・イ・ニキーチン『経済学入門教科書』副島種典,池田頴昭共訳　青木新書、1960
レーニン『帝国主義論』角川文庫、1963
アンリ・ルフェーヴル『レーニン 生涯と思想』ミネルヴァ書房、1963
レーニン『国家と革命』角川文庫、1966
エンゲルス『空想から科学へ 社会主義の発展』角川文庫、1967
ジョン・リード『世界を震撼させた十日間』角川文庫、1972
V.A.メドヴェージェフ O.I. オジェレリエフ、L.I. アバルキン『ペレストロイカの経済学』共訳　大月書店、1990

これらの著作や翻訳は、大崎平八郎の深い知識と広い視野を物語っています。彼の研究は、現代の経済学にも大きな影響を与え続けています。

参考文献

戦中派からの遺言 - 紀伊國屋書店BookWeb

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